「倫理的な共著」のためのガイド(記事紹介)

英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics and Political Science : LSE)のブログ“LSE Blogs”に、2021年3月29日付けで記事“A simple guide to ethical co-authorship”が掲載されています。筆者は研究方法・研究倫理に関する論考を多く発表している研究者のHelen Kara氏です。

記事では、共著を始める前に確認しておくべき点、共著者に倫理的な引用の仕方を勧めるべきこと等、倫理的な方法で共同執筆・共同出版を検討している著者に向けたアドバイスが示されています。記事の背景として、現在多くの社会科学分野で共著がデフォルトとなっていることや、「倫理的な共著」について議論されることは少ないが、共著では盗用や引用操作といった非倫理的行為が良く起こることを指摘しています。

記事では非倫理的行為のその他の例として、ゴーストオーサーシップ・ゲストオーサーシップ・ギフトオーサーシップを挙げており、その定義や、出版倫理委員会(COPE)がこれらについて説明したフローチャートを公開していることを紹介しています。

また、著者名の掲載順に関する問題にも触れており、学術分野によって掲載順に関する慣行が異なることや、Heather Sarsons氏の共著に関する研究に触れつつ、掲載順が女性研究者のキャリアに不利な影響を与える可能性を指摘しています。

A simple guide to ethical co-authorship(LSE Blogs, 2021/3/29)
https://blogs.lse.ac.uk/impactofsocialsciences/2021/03/29/a-simple-guide-to-ethical-co-authorship/

参考:
ロシアで展開される研究不正行為の実情:ハゲタカジャーナルへの掲載・共著者枠の売買・外国語論文のロシア語訳による剽窃など(記事紹介)
Posted 2021年2月9日
https://current.ndl.go.jp/node/43233