国際図書館連盟(IFLA)、カナダとシンガポールで行われている著作権法改正にかかわって意見書を提出

2021年4月13日、国際図書館連盟(IFLA)は、カナダとシンガポールで行われている著作権法改正にかかわって、意見書を提出したと発表しています。

カナダに関しては、同国が米国・メキシコとの貿易協定において、著作権の保護期間を著作権者の死後50年から70年に延長すると約束したことから、Canadian Federation of Library Associationsおよびカナダ研究図書館協会(CARL)と同じく、孤児著作物やアウト・オブ・コマース(out-of-commerce)の著作物の利用を可能とするオプションの設定と、創作後100年を経た著作物の利用を例外とすることを推奨するとしています。また、著作権者が保護期間の最後の20年間に権利の行使を望む場合の登録システムを創設し、未登録作品はパブリックドメインになることとすることを強く推奨するとしています。

また、IFLAでは、カナダのフェアディーリングによる例外規定についての柔軟性の重要性の強調、孤児著作物やアウト・オブ・コマースの著作物を扱う図書館員の責任の制限等といった点での、図書館の寄与も支持するとしています。

シンガポールでは、テキスト・データマイニングや教育におけるデジタル資料の利用の明確な許可や、同国におけるフェアユース規定の実施の簡素化、契約条件により図書館活動が奪われないようにする措置といった著作権法の改正提案が行われており、IFLAでは、同国政府がデジタル時代にふさわしい著作権法のバランスを確立することに力を入れていること等を強く歓迎するとしています。そのうえで、図書館資料のテキスト・データマイニングをリモートからも可能とすること、著作物の商業利用の可能性を確認する際に図書館が不必要な管理負担を負わないようにすること、印刷物を読むことに障害がある人が幅広い目的で利益を得られるようにマラケシュ条約の実施条項を拡大することに関し、より明確にすることを求めるとしています。

IFLA submits comments on Canada, Singapore copyright reforms(IFLA,2021/4/13)
https://www.ifla.org/node/93820

参考:
CA1972 – EU新著作権指令にみるデジタル時代の「図書館」像 ―デジタルコンテンツの供給源としての図書館 / 松澤邦典
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1972

カナダ図書館協会(CLA)、協会の解散を投票で決定 国内の図書館団体を統合した新組織を樹立へ
Posted 2016年1月28日
https://current.ndl.go.jp/node/30568