否定的な引用と出版後の査読プラットフォームが論文の訂正・取り下げに与える影響(文献紹介)

2020年6月3日、査読誌”Scientometrics”より、否定的な引用と出版後の査読プラットフォームが論文の訂正・取り下げに与える影響を調査した論文が公開されました。

この論文では、否定的な引用と出版後の査読プラットフォームが論文の訂正/取り下げへ与える影響について調査しています。調査は工学、医学、生物学分野の論文を対象としています。否定的な引用(矛盾を指摘した引用)はSciteを利用して特定し、出版後の査読プラットフォームとしてはPubPeerを利用しました。結果として、否定的な引用よりも、出版後の査読プラットフォームにおけるコメントのほうが、論文の訂正・取り下げにより大きな影響を与えることが判明しました。特に、出版後の査読プラットフォームのコメントは、否定的な引用よりも論文を訂正させる機会が多いことが報告されています。

このことから、出版後の査読プラットフォームのコメントは、学術の修正に貢献するメカニズムの一つであると述べています。

Bordignon, F. Self-correction of science: a comparative study of negative citations and post-publication peer review. Scientometrics, 2020.
https://doi.org/10.1007/s11192-020-03536-z