ジェンダーと生産性、オープンアクセスに関するイタリア学術会議の計量書誌学的分析(文献紹介)

2021年1月5日付で、査読誌“Scientometrics”において、イタリア学術会議(CNR)に所属するRoberta Ruggieri氏らによる共著論文“An intersectional approach to analyse gender productivity and open access: a bibliometric analysis of the Italian National Research Council”が公開されました。

ジェンダーとオープンアクセス(OA)、学術的生産性に関する計量書誌学的分析結果をまとめたものです。分析対象は、Web of Scienceに含まれる、2016年から2018年にかけて発表された、CNR所属者が著者に含まれる論文の内の2万2,428件であり、CNRに所属する著者は1万1,536人、そのうち6,396人が男性、5,140人が女性です。

論文数、OA割合、分野ごとのOA割合、助成、助成種別ごとのOA割合等についてジェンダーによる比較が行われています。論文の執筆寄与者の内、女性は35.3%、男性は64.7%と差異が見られること、ジェンダー別にみると、ゴールドOAで発表されている論文の割合は、女性が21.1%と、男性の19.6%よりも少し高く、農学以外の分野において同様の傾向が見られること等が述べられています。また、OAの選択に、受けている助成や分野における慣行等が影響している可能性が指摘されています。

Ruggieri, Roberta., Pecoraro, Fabrizio,. Luzi, Daniela. An intersectional approach to analyse gender productivity and open access: a bibliometric analysis of the Italian National Research Council. Scientometrics, 2021, 27p.
https://doi.org/10.1007/s11192-020-03802-0