米・カリフォルニア大学バークレー校図書館、法的・倫理的に適正な資料のデジタル公開を実践するためのワークフローを公開

米・カリフォルニア大学バークレー校図書館は、同館のデジタル化業務を扱った2020年5月14日付の記事“UC Berkeley Library makes it easier to digitize collections responsibly with novel workflows and bold policy”内で、デジタル化に伴う法的・倫理的問題の適正な対応・処理手順や検討事項等を示した“Responsible Access Workflows”の公開を発表しました。

図書館等の文化遺産機関が所蔵資料をデジタル化して世界中からアクセスできるようにオンライン公開するためには、複雑な法的・倫理的諸問題の処理が求められ、このことがデジタル化・オンライン公開推進の動きを鈍化させていることがしばしばあります。バークレー校図書館でも事態は同様であり、同館はデジタル化事業にあたってこうした難題への対処を容易化するために“Responsible Access Workflows”を開発しました。

同館は、“Responsible Access Workflows”をデジタル化事業実施において重要な問題である「著作権」「契約」「プライバシー」「倫理」への体系的な手引きと位置づけ、具体的にこれらの4種類の問題に直面した際の判断の指針をワークフロー形式で示しています。博物館・文書館等も含めた文化遺産機関全般にとっても有益な情報を提供できるとして、同館は“Responsible Access Workflows”をクリエイティブ・コモンズのCC BY-NC(表示-非営利)ライセンスを付与の上、Googleドキュメント上に公開しています。

UC Berkeley Library makes it easier to digitize collections responsibly with novel workflows and bold policy(Berkeley Library News,2020/5/14)
https://news.lib.berkeley.edu/responsible-access

Responsible Access Workflows(Googleドキュメント)
https://docs.google.com/presentation/d/1V66PGpIq9xqXxdvngpD3rkAMoIw2hIyVVDS4Iv4VFOM/

参考:
CA1835 – デジタルアーカイブと利用条件 / 生貝直人
カレントアウェアネス No.322 2014年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1835

CA1972 – EU新著作権指令にみるデジタル時代の「図書館」像 ―デジタルコンテンツの供給源としての図書館 / 松澤邦典
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1972

CA1973 – 動向レビュー:Rights Statementsと日本における権利表記の動向 / 数藤雅彦
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1973

米・カリフォルニア大学バークレー校図書館、同館のデジタルコレクションへのポータルサイト“Digital Collections”を公開
Posted 2020年3月9日
https://current.ndl.go.jp/node/40435