2019年11月7日、北米の都市図書館協議会(ULC)は、電子書籍への公平なパブリック・アクセスの必要性に関する声明“Statement on Equitable Public Access to E-Books”に対して、北米地域の市長や郡長官等の公選役職者77人が署名したことを発表しました。ULCは署名者が所属する自治体の住民数を合計すると4,400万人以上に上ることを発表しています。
この声明は2019年11月1日に、米国の大手出版社Macmillan社が実施した、図書館向けの電子書籍の新刊書購入について、2冊目以降の購入に8週間のエンバーゴを設けるという提供モデル変更への直接の反応としてULCが発したものです。ULCは声明の中で、大手出版社が新刊購入の制限や冊子版よりも不当に高額な価格設定といった、公共図書館への電子書籍提供に対する制限を強化していることを指摘しています。併せて、こうした制限は図書館が住民へ情報への自由なアクセスを提供するという中核的な機能を損なうことで、社会的・経済的な格差の拡大を促進しコミュニティや住民の未来を弱体化させるものであることを指摘しています。ULCは、この声明が公選役職者らにとっての政策綱領として機能することで、デジタル化に対応した地域コミュニティ構築に果たす図書館の役割への支援と、出版社に対して透明性がありバランスの取れた図書館への電子書籍提供モデルを求める意見の伝達に資する、としています。
North American Elected Officials Send Message to E-Book Publishers: Price Gouging Public Libraries Is Unacceptable(ULC,2019/11/7)
https://www.urbanlibraries.org/newsroom/north-american-elected-officials-send-message-to-e-book-publishers-price-gouging-public-libraries-is-unacceptable
Statement on Equitable Public Access to E-Books(ULC)
https://www.urbanlibraries.org/initiatives/statement-on-equitable-public-access-to-e-books
参考:
大手出版社Macmillan社、図書館向け電子書籍提供モデル変更を実施:米国図書館協会(ALA)は継続して反対キャンペーンを展開
Posted 2019年11月11日
https://current.ndl.go.jp/node/39480
米国図書館協会(ALA)、Macmillan社に電子書籍のエンバーゴの撤回を求める請願書を公開:電子書籍無料貸出サービスも開始予定
Posted 2019年9月13日
https://current.ndl.go.jp/node/39025
米国図書館協会(ALA)、大手出版社Macmillan社の新しい電子書籍貸出モデルへのエンバーゴ設定について非難する声明を発表
Posted 2019年7月29日
https://current.ndl.go.jp/node/38685
北米の都市図書館協議会(ULC)の人種と社会的平等に関する声明に対して北米の151の公共図書館が署名
Posted 2019年8月7日
https://current.ndl.go.jp/node/38755