2019年11月19日、米・SPARCは、高等教育機関向けに学術データとその基盤への出版業界の統制増大に対抗するためのロードマップとなる報告書として、“A Roadmap for Action : Academic Community Control of Data Infrastructure”の公開を発表しました。
このロードマップは、2019年前半に公開済の学術出版業界の現況に関するSPARCの詳細分析を踏まえて作成されています。筆頭著者である市場アナリストのClaudio Aspesi氏は、ロードマップ作成の背景として、「学術出版業界は大きな変革期にあり、従来までのコンテンツ提供事業だけでなくデータ分析をも事業化しようとしている。この傾向は重要な意味を持つものであり、高等教育機関の財政、中核的使命、重要情報を管理するための機能に深い影響を及ぼす可能性がある。この変化する状況には、隠れてはいるが負の帰結につながりうる対処すべき重大な問題が含まれている。今行動を起こさなければならない」とコメントしています。
公開されたロードマップは、高等教育機関が自身のデータとその基盤を管理し回復するために利用可能な独自の行動と機関同士で共同した行動の概略を示しています。1つの解決策で全ての状況に対応することはできないという認識の下、機関独自の文化やニーズに対応できるように、リスク軽減・戦略の選択・機関が共同したコミュニティとしての行動の3つのカテゴリに分けて解決策を提示する内容となっています。
SPARC Releases Roadmap for Higher Education Institutions to Counter Industry’s Growing Control Over Academic Data and Analytics(SPARC,2019/11/19)
https://sparcopen.org/news/2019/roadmap-for-action/
SPARC Roadmap for Action(SPARC)
https://sparcopen.org/our-work/roadmap-for-action/
A Roadmap for Action : Academic Community Control of Data Infrastructure [PDF:32ページ](SPARC)
https://osf.io/preprints/lissa/a7nk8/download
関連:
SPARC Landscape Analysis(SPARC)
https://sparcopen.org/our-work/landscape-analysis/
Landscape Analysis : The Changing Academic Publishing Industry – Implications for Academic Institutions [PDF:53ページ](SPARC)
https://osf.io/preprints/lissa/58yhb/download
参考:
IFLA・情報への自由なアクセスと表現の自由に関する委員会(FAIFE)、EdTechと図書館に関するブリーフィングペーパーを公開
Posted 2019年8月5日
https://current.ndl.go.jp/node/38726
E2112 – 北米の研究図書館におけるラーニングアナリティクスの取組
カレントアウェアネス-E No.364 2019.02.28
https://current.ndl.go.jp/e2112
SPARC、米国司法省へMcGraw-Hill社とCengage社の合併計画阻止を求める文書を提出
Posted 2019年8月15日
https://current.ndl.go.jp/node/38798
米国図書館協会(ALA)、図書館のコアサービス提供機能を制限するデジタル市場の商慣行是正を求めたレポートを米国下院に提出
Posted 2019年11月6日
https://current.ndl.go.jp/node/39433