米国図書館協会(ALA)、Macmillan社に電子書籍のエンバーゴの撤回を求める請願書を公開:電子書籍無料貸出サービスも開始予定

2019年9月11日、米国図書館協会(ALA)と米・公共図書館協会(PLA)が、電子書籍への図書館からのアクセスを制限する昨今の動きに対する全国的なキャンペーンを行うことを発表しました。

まずALAは、大手出版社Macmillan社が図書館に販売する電子書籍に設定予定のエンバーゴの撤回を求める請願書を、オンライン上で公開しました。

Macmillan社は、各図書館で電子書籍の新刊書は1タイトルにつき1点しか購入できず、2点目以降の購入には刊行から8週間のエンバーゴが設けられる新しい電子書籍貸出モデルを2019年11月1日から導入予定です。

請願書では、電子書籍の特長として、文字の拡大が容易であること、ディスレクシアの人や目の不自由な人の読書をより容易にするためのフォントや行間隔が提供されていること、携帯用機器は軽量で持ちやすく、体の不自由な人の中にはそれによって読書がより容易になる人もいることを挙げ、このエンバーゴが、特に身体障害や学習障害を持つ図書館利用者に損失を与えるものであるとしています。そして、同請願書に署名することでMacmillan社の方針への反対を表明するよう呼び掛けています。

ALAはまた、電子図書館サービスのRakuten OverDriveと連携し、電子書籍を無料で貸し出すサービス“Libraries Transform Book Pick”を提供することを発表しました。同サービスは図書館の利用者カードを持っていれば誰でも利用可能であり、同一タイトルの同時利用が可能であるとしています。まず10月7日から21日まで、小説“After the Flood”の電子版が、Rakuten OverDriveを導入している公共図書館で貸出可能になる予定です。

ALA launches national campaign against e-book embargo(ALA, 2019/9/11)
http://www.ala.org/news/press-releases/2019/09/ala-launches-national-campaign-against-e-book-embargo

ALA and OverDrive collaborate to offer public libraries across U.S. a new action-packed adventure for a “digital book club”(ALA, 2019/9/11)
http://www.ala.org/news/press-releases/2019/09/ala-and-overdrive-collaborate-offer-public-libraries-across-us-new-action

参考:
米国図書館協会(ALA)、大手出版社Macmillan社の新しい電子書籍貸出モデルへのエンバーゴ設定について非難する声明を発表
Posted 2019年7月29日
http://current.ndl.go.jp/node/38685

米国図書館協会(ALA)と米・公共図書館協会(PLA)、州立図書館・地域図書館向けにMacmillan社の新しい電子書籍貸出モデルへの反対声明等として利用可能なテンプレートを公開
Posted 2019年8月28日
http://current.ndl.go.jp/node/38900

米国図書館協会(ALA)、出版大手Hachette Book Group(HBG)の発表した図書館向け電子書籍・オーディオブックの貸出モデル変更に懸念を表明
Posted 2019年7月8日
http://current.ndl.go.jp/node/38530

※情報源を一部差し換えました。(2019/9/13)