2019年7月29日、米国議会図書館(LC)は、フェイクニュースに対する各国の取り組みを扱った同館の調査レポートを紹介したブログ記事“Law Library Reports Address Foreign Initiatives to Counter “Fake News””を公開しました。
サイバー空間上のフェイクニュース拡散への対抗手段は、表現の自由等の民主主義の基本原則や政府の行動の透明性・監視に関わる規則への困難を突きつける可能性があるという背景の下、LCはマスメディア・ソーシャルメディアを利用したフェイクニュース拡散への対処のために各国が採用した法的アプローチの調査レポートを2019年に2本公開しています。
1本目は2019年4月付の“Initiatives to Counter Fake News in Selected Countries”です。このレポートでは、15か国の個別調査と比較が行われており、多くの国でフェイクニュースを拡散したソーシャルメディアネットワークや個人に対して、罰金を課す、虚偽情報の削除を命ずる、といった制裁を課す法律が存在することを指摘しています。また、選挙当局とデジタルプラットフォームとが、フェイクニュースを特定・遮断する、公衆へ事実確認のための情報源を提供する等によって、十分に情報を得た有権者を確保する取り組みなどについても指摘しています。
2本目は2019年6月付の“Limits on Freedom of Expression”です。このレポートでは、13か国について、言論の自由を含む表現の自由の保護範囲に関する調査が行われています。特に、虚偽の情報を含む可能性のある公的な発言を妨げたり、影響を与えたりする権利に対して適用され得る保護の限界について焦点が当てられています。また、外国のマスメディアに対する統制の機構についても言及されています。
Law Library Reports Address Foreign Initiatives to Counter “Fake News”(LC,2019/7/29)
https://blogs.loc.gov/law/2019/07/law-library-reports-address-foreign-initiatives-to-counter-fake-news/
関連:
Initiatives to Counter Fake News(LC)
https://www.loc.gov/law/help/fake-news/index.php?loclr=bloglaw
Initiatives to Counter Fake News in Selected Countries [PDF:111ページ](LC)
https://www.loc.gov/law/help/fake-news/counter-fake-news.pdf
Limits on Freedom of Expression(LC)
https://www.loc.gov/law/help/freedom-expression/index.php?loclr=bloglaw
Limits on Freedom of Expression [PDF:97ページ](LC)
https://www.loc.gov/law/help/freedom-expression/limits-expression.pdf
参考:
欧米4か国で実施されたフェイクニュースに対する意識調査についての報告書が公開される
Posted 2017年10月31日
http://current.ndl.go.jp/node/34920
米国図書館協会、米国図書館界の概況についての報告書 (2017年版)及び「2016年に最も批判を受けた図書」を公表
Posted 2017年4月11日
http://current.ndl.go.jp/node/33821
米国議会図書館、Wikileaksへのアクセスをブロック
Posted 2010年12月9日
http://current.ndl.go.jp/node/17253