米国図書館協会、米国図書館界の概況についての報告書 (2017年版)及び「2016年に最も批判を受けた図書」を公表

2017年4月10日、米国図書館協会(ALA)が、全米図書館週間にあわせ、米国図書館界の概況をまとめた報告書“State Of America’s Libraries Report”の2017年版を公表しています。

報告書では、図書館が、(1)あらゆる種類の情報を質の評価に必要な知識や訓練を利用者に提供していること、(2)幼児のリテラシー・コンピュータスキル・労働力開発支援に大きな役割を果たしていること、(3)資料・プログラム・サービスにコミュニティの多様性を反映させることで住民にとって安全な場所を提供していること、を示しています。

その他、館種別では

・大学図書館
学術コミュニケーション、デジタルアーカイブス、データキュレーション、デジタルヒューマニティーズ、可視化、ボーンデジタルの分野で新しい役割を担いつつある。新興領域として、計量書誌学、オルトメトリクス、e-Learning、custom information solutions、研究データ管理がある。

・公共図書館
サインやソーシャルメディアを活用して、誰でも利用できることを広報している。人口統計・選挙・社会正義などの注目の話題に関する読書リストの作成、宗教や人種差別等へ対応するためのコミュニティの組織との連携、「フェイクニュース」を見つけ評価するプログラムの実施、等が行われている。

・学校図書館
学校図書館予算の増加のいくつかの根拠があり、また、Every Student Succeeds Actの学校図書館活動の支援に適用されることが期待されている。

といった点が紹介されています。

また、文化的一体性への進展を弱体化させるおそれがある新政権の施策への対応についても記載されています。

また、「2016年に最も批判を受けた図書トップ10」(Top Ten Most Challenged Books in 2016)も、あわせて公表しています。

New report chronicles library community’s front line battles against fake news, censorship, bigotry (ALA,2017/4/10)
http://www.ala.org/news/press-releases/2017/04/new-report-chronicles-library-community-s-front-line-battles-against-fake

State of America’s Libraries Report 2017(ALA)
http://www.ala.org/news/state-americas-libraries-report-2017

参考:
2017年の「全米図書館週間」(National Library Week)は4月9日から
Posted 2017年3月2日
http://current.ndl.go.jp/node/33578

米国図書館協会(ALA)、米国図書館界の概況についての報告書の2016年版を公表
Posted 2016年4月12日
http://current.ndl.go.jp/node/31313

米国図書館協会(ALA)、「2015年に最も批判を受けた図書」を公表:第6位に『聖書』がランクイン
Posted 2016年4月18日
http://current.ndl.go.jp/node/31363