出版社向けのデータポリシー実装のための実践的な助言(記事紹介)

2019年7月26日、オープンアクセス学術出版協会(OASPA)は、出版社向けにデータポリシー実装のための実践的な助言を紹介したブログ記事“Implementing a data policy: a how-to guide for publishers”を公開しました。

同記事はデータリポジトリDryadのBoard of DirectorsであるFiona Murphy氏らにより執筆されています。近年、オープンデータやデータの“FAIRness”に関して、様々な国際的なイニシアチブや出版社がポリシー、プロトコル等を展開していることを背景に、こうしたリソースから得られた出版社向けの実践的な助言を行うという内容です。

記事では以下の6点がデータポリシー実装に当たって実践的な方法として挙げられています。

1.データセットに対するDOI、著者に対するORCIDなど永続的識別子の使用を奨励すること
2.特定分野やコミュニティでデータのオープン化実践を奨励、期待、義務付けるにあたって無理が生じないのはどのような場合か、ジャーナルのエディタ・学会等に基準をつけて評価させること
3.データは研究論文の中にリンクを含める形でリポジトリにアップロードするのが望ましいこと
4.データがクローズな状態を既定値とする必要はなく、研究者へはなぜクローズにしなければならないのかを尋ねればよいこと
5.ペイウォールの向こう側にある論文についても、論文の基礎となるデータの可用性やライセンス、アクセシビリティなどに関する情報を提供すること
6.投稿前・査読中・研究成果の作成といった研究者の視点からワークフローを検討すること

Implementing a data policy: a how-to guide for publishers(OASPA,2019/7/26)
https://oaspa.org/implementing-a-data-policy-a-how-to-guide-for-publishers/

参考:
E2018 – 「学術出版における透明性の原則と優良事例」第3版が公開
カレントアウェアネス-E No.345 2018.04.19
http://current.ndl.go.jp/e2018

E2052 – FAIR原則と生命科学分野における取組状況
カレントアウェアネス-E No.353 2018.08.30
http://current.ndl.go.jp/e2052

内閣府、「国立研究開発法人におけるデータポリシー策定のためのガイドライン」を公表
Posted 2018年7月3日
http://current.ndl.go.jp/node/36264

Open Research Funders Group(ORFG)、利害関係者のオープンサイエンスへの理解促進を目的とした資料集“Open 101”を公開
Posted 2018年9月13日
http://current.ndl.go.jp/node/36660

Taylor & Francis社、 研究データポリシーを公開
Posted 2018年2月16日
http://current.ndl.go.jp/node/35500