社会科学・人文学分野で学位論文をオープンアクセスにすると、その内容を雑誌論文やモノグラフとして出版する機会は失われるのか?(文献紹介)

College & Research Libraries誌の2013年7月号に、”Do Open Access Electronic Theses and Dissertations Diminish Publishing Opportunities in the Social Sciences and Humanities? Findings from a 2011 Survey of Academic Publishers”と題した論文が掲載されています。著者はCalifornia Polytechnic State Universityのデジタルリポジトリ担当図書館員、Marisa L. Ramirez氏らです。

この論文は社会科学・人文学分野において、学位論文をオープンアクセスにするとその内容を雑誌論文やモノグラフとして出版する機会は減るのかを明らかにすることを目的に、2011年に行われたオンライン調査の結果に基づくものです。調査対象は人文学・社会科学分野の学術雑誌編集委員615人、モノグラフを出版する大学出版局のディレクター131人で、75の雑誌(回答率12%)と53の出版局(40%)から回答がありました。

調査の結果、雑誌編集委員については、オープンアクセスの学位論文内容に基づく投稿を「いつでも歓迎する」とした回答者が65.7%、「場合による」とした者が17.1%でした。一方、大学出版局については「いつでも歓迎する」は9.8%にとどまり、「場合による」とした回答が43.9%と最も多くなっています。ただし、オープンアクセスの学位論文内容に基づく出版を「検討しない」とした出版局も7.3%にとどまっていたとのことです。

Do Open Access Electronic Theses and Dissertations Diminish Publishing Opportunities in the Social Sciences and Humanities? Findings from a 2011 Survey of Academic Publishers(C&RL)
http://crl.acrl.org/content/74/4/368

Table of Contents – July 2013; 74 (4)
http://crl.acrl.org/content/74/4.toc