「論文工場」問題に対処するために図書館員ができることは何か?(記事紹介)

2024年7月2日付けで、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌において、「論文工場」(paper mill)問題に対処するために図書館員ができることについて論じた記事“The paper mill crisis is a five-alarm fire for science: what can librarians do about it?”が掲載されています。

記事では、研究者に代わって論文を大量に製造して、そのオーサーシップを販売する、いわゆる「論文工場」の問題が近年深刻化しており、その背景には、論文掲載料(APC)をベースとしたオープンアクセス(OA)出版モデルがあると指摘しています。この問題に対する学術出版社や関連団体の取組を紹介した上で、図書館員ができることについて論じています。具体的には、出版社とのライセンス契約に出版の公正性に関する文言を加えること、Subscribe to Open(S2O)等のAPCに依存しない出版モデルを支援することなどが提案されています。

Brundy, Curtis; Thornton, Joel B. The paper mill crisis is a five-alarm fire for science: what can librarians do about it?. Insights. 2024, 37(11), p. 1-7.
https://doi.org/10.1629/uksg.659

参考:
米国情報標準化機構(NISO)、学術出版物の撤回・削除・懸念表明に関する推奨指針を公開 [2024年07月01日]
https://current.ndl.go.jp/car/222243

Wiley社、「論文工場」(paper mill)問題の解決に向けたイニシアティブ“United2Act initiative”への支持を表明 [2024年01月25日]
https://current.ndl.go.jp/car/209429

出版倫理委員会(COPE)、「論文工場」(paper mill)に関する見解を表明 [2024年01月23日]
https://current.ndl.go.jp/car/209325

E2550 –「論文工場(paper mill)」へ取るべき行動:COPE報告書
カレントアウェアネス-E No.446 2022.10.27
https://current.ndl.go.jp/e2550