OPACの所蔵・貸出情報をリアルタイムにディスカバリーサービスに表示させる(記事紹介)

英国のハダーズフィールド(Huddersfield)大学図書館のシステムズライブラリアンであるパターン(Dave Pattern)氏は、ブックカバーの色で検索するOPACの開発や、貸出履歴データのクリエイティブコモンズライセンスによる公開といった活動で知られています。そのパターン氏が、自身のブログで、図書館システムのOPACから取得した所蔵・貸出情報をディスカバリーサービスに表示させるために考え出した方法を紹介しています。

同館が導入しているSerials Solutions社のウェブスケールディスカバリーサービス“Summon”では、図書館システムのOPACから所蔵・貸出情報をリアルタイムに取得して“Availability”欄に表示することが可能だそうです。それは、SummonがOPACの画面をスクレイピングする、あるいはOPACのAPIを利用するという方法によるもので、残念ながら、ハダーズフィールド大学図書館のOPAC(SirsiDynix社のHorizon)はAPIを提供しておらず、スクレイピングにも不向き(OPACへのリクエスト1件ごとに1つのセッションIDが発行されてしまう)なため対応できなかったと述べられています。(こういった場合、SummonのAvailability欄には、所蔵・貸出情報ではなくOPACへのリンクが表示される仕様になっているようです。)

そこで、パターン氏は、図書館システムのデータベースから所蔵・貸出情報を取得してXML形式で返すようなPerlスクリプトを開発し、Summonと連携させることで対応するという方法を考えたそうです。なお、このXMLには電子図書館連合(Digital Library Federation)が策定した“ILS Discovery Interfaces”というスキーマが使われているようです。

Extending the availability messages in Summon (Self-plagiarism is style 2011/7/3付け記事)
http://www.daveyp.com/blog/archives/1546

Perlスクリプトが返すXMLの例(ある1冊の図書の所蔵のリスト)
http://library.hud.ac.uk/perl/summon/dlf.pl?497856

公開されているPerlスクリプトのコード
http://library.hud.ac.uk/blogs/summon4hn/?page_id=62

ILS Discovery Interfaces (DLF)
http://old.diglib.org/architectures/ilsdi/

参考:
ハダーズフィールド大学図書館、蔵書の貸出履歴をクリエイティブコモンズライセンスで公開(英国)
http://current.ndl.go.jp/node/9794

E602 – ブログ発!カバーの色で検索するOPAC
http://current.ndl.go.jp/e602