2023年6月21日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)が、共同査読ポリシーを同出版局の全ジャーナルポートフォリオに適用すると発表しました。
3つのジャーナルで試行されていたものが同出版局のジャーナルポートフォリオ全体に拡大されるもので、包括的かつ協力的な査読プロセスを確保するための取組の一環であると述べられています。査読の依頼を受けた研究者には、「他の研究者と共同査読する」(“co-review with a colleague”)機会が提供され、指名された研究者には査読への正式な依頼状が送られます。 共同査読者となる研究者は、Clarivate社の“Web of Science Reviewer Recognition Service”を通じて、その業績が公式に認められるとあります。
発表によると、若手研究者は、査読報告書にアイデアやコメントを提供することで経験豊富な研究者をサポートすることがよくあるものの、ある調査によると、若手研究者の70%が、査読者または共同査読者を務めた後に編集スタッフにより名前を伏せられ、その仕事に対する正式な評価を受けなかったと回答したとあります。
共同査読を導入することで、若手研究者は査読の実地経験、メンターからの指導、貢献に対する信用を得ることができ、またベテランの査読者は、査読のプレッシャーを軽減しながら、意欲的な研究者をサポートする機会を得ることができるとしています。
IOP Publishing extends co-review policy to entire owned journal portfolio, delivering a collaborative and supportive experience for all reviewers(IOP Publishing, 2023/6/21)
https://ioppublishing.org/news/iop-publishing-extends-co-review-policy-to-entire-owned-journal-portfolio/
関連:
Web of Science Reviewer Recognition Service(Clarivate)
https://clarivate.com/products/scientific-and-academic-research/research-publishing-solutions/reviewer-recognition-service/
参考:
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、優れた査読者を表彰するOutstanding Reviewer of the Year Awardの受賞者を発表 [2023年04月24日]
https://current.ndl.go.jp/car/180725
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、オープンアクセス(OA)ジャーナルのポートフォリオ全体で“Transparent Peer Review”を利用可能に:査読者のコメントや著者の回答等を公開 [2022年02月08日]
https://current.ndl.go.jp/car/45609
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、SDGsの達成に向けて出版業界が取り組むべき10の行動目標を定めた“SDG Publishers Compact”に署名 [2021年06月03日]
https://current.ndl.go.jp/car/44124
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、所有する全ジャーナルの査読方式をダブルブラインドとする予定であることを発表 [2020年09月14日]
https://current.ndl.go.jp/car/41995
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、世界各国の1,200人以上の研究者を対象とした査読に関する意識調査の結果を公開 [2020年09月04日]
https://current.ndl.go.jp/car/41925
IOP Publishingが査読者の識別・透明性、多様性、効率の課題に取り組むために、Publonsと提携すると発表 [2020年02月12日]
https://current.ndl.go.jp/car/40218
※タイトルと本文の一部を修正しました。(2024/2/2)