フォントの選択、価値、エコシステム:各国の国立図書館の事例を交えて(記事紹介)

2023年6月11日付で、OCLCの研究部門担当副会長兼最高戦略責任者であったデンプシー(Lorcan Dempsey)氏によるウェブサイト“Lorcan Dempsey.net”に、フォントのエコシステム等に関する記事“Font choices, values and ecosystem, with some national library examples”が掲載されました。

記事では、フォントのデザインと展開に関するトピックが紹介されています。デザインの選択だけでなく、ビジネスや価値観の選択にも関わる分野であるとし、フォントのエコシステムについての紹介のほか、各国の国立図書館のウェブサイトにおいてフォントがどのように使用されているか等に関する調査結果が報告されています。

国立図書館はほかの図書館と同様にサービス機関であり、効果的な双方向サービスを提供していくために機能的なフォントを採用する必要がある一方で、「美的で固有の品質」にも関心を持つべきだとしています。しかし同時に、国立図書館は、伝えるべきストーリーや視点を持っている可能性のある重要な国の文化機関でもあるという文脈では、フォントは一つの伝達装置でもあり、その国特有の雰囲気等を伝えることができるとしています。

同氏が調査した国立図書館の多くでは、RobotoをはじめとするGoogleフォントが採用されていると述べられています。記事では英国図書館(BL)、チェコ国立図書館、デンマーク王立図書館、ドイツ国立図書館等、各国の国立図書館が使用しているフォントについて解説されています。

なお、今後の投稿では、学術図書館、公共図書館等で使用されているフォントについても取り上げたいとしています。

Font choices, values and ecosystem, with some national library examples(Lorcan Dempsey.net, 2023/6/11)
https://www.lorcandempsey.net/national-libraries-and-fonts/

参考:
韓国国立中央図書館、図書館をイメージしたフォント「図書館体」を開発し無料で配布
[2016年03月15日]
https://current.ndl.go.jp/car/31022

E1577 – 図書館ウェブサイトのデザイン及びユーザビリティ調査(米国)
カレントアウェアネス-E No.261 2014.06.19
https://current.ndl.go.jp/e1577