CA954 – OPACにおける主題検索の現状と将来 / 谷口純子

カレントアウェアネス
No.179 1994.07.20


CA954

OPACにおける主題検索の現状と将来

国立国会図書館図書館研究所の調査研究プロジェクト「主題情報の組織化とユーザー・インターフェイス」のワークショップが,6月9日,OPACにおける主題検索の現状と将来をテーマに,60名の参加のもと開催された。平野美恵子主査によるプロジェクトの概要説明の後,研究班のメンバー3人が研究内容の報告を行った。

福島寿男委員は,OPACの比較調査の結果から,インターフェイスの問題点として,利用者案内・援助機能が未発達であることを指摘し,優れたインターフェイスの例としてイリノイ大学のOPACを紹介した。また,OPACではログ採取により利用者の検索語を収集・分析し,索引システムにフィードバックすることが可能であるが,その方法として,統制語よりも検索語の特定性のレベルの方が高い場合にはフリーターム索引法を導入してはどうかと提案した。高木浩子委員からは,OPACについてはトランザクション・ログ・アナリシス,CD-PACについてはアンケート及びインタビューにより行われた国立国会図書館における利用調査の結果が報告された。横山幸雄委員は,目次情報は書誌情報として入力されることにより,内容把握に役立つと同時に,システム次第で検索の対象となり得るため,入力対象の選定方法や標準化の問題など検討課題は多いが,主題情報としての有用性は高いと述べた。

これらの報告について,以下の3人がコメントした。根岸正光(学術情報センター教授)は,国立図書館としてOPACのシステムの推薦仕様を積極的に提示していってはどうかと提言。三井幸子(東京大学経済学部図書館)は,現場でのOPACに関する課題は,現状のシステムを普及させるための利用者へのフォローにあると説明。佐川祐子(杉並区立柿木図書館)は,利用者が主題として入力するものは「日本の歴史」のように単語ではなく,また,件名の構造と異なっている場合が多いが,それにどう対応していくのかとの問題提起を行った。

その後の質疑・討論では,電子化時代に対応した目録規則・件名標目表の整備,OPACの外部への公開,OPAC普及のための利用指導や援助の方法など,主題検索の問題にとどまらず,OPACの持つ課題と可能性についての幅広い議論が行われ,出席者それぞれの立場からのOPACに対する関心の大きさがうかがえた。

谷口純子(たにぐちじゅんこ)