CA754 – 欧文会議録のOPAC設置 / 大塚奈奈絵

カレントアウェアネス
No.143 1991.07.20


CA754

欧文会議録のOPAC設置

国立国会図書館(NDL)では7月1日より,科学技術資料室で欧文会議録のOPAC Serviceの試行を開始した。会議録は入手や検索が困難な灰色文献の代表的な資料とされる一方,近年発生量が激増し,特に科学技術分野においては,雑誌論文や特許資料についで利用ニーズの高い資料となっている。学位論文をはじめとする他の灰色文献と比較すると,商業出版物や学協会の出版物が多い反面,単行書として刊行されるもの以外にも雑誌やテクニカルリポートなど他の種類の出版物の中に混在するものが多く,資料の書誌事項を特定し難いのが特徴といえる。さらに,単行書として刊行された資料も,図書の目録規則に馴染まない形式のものが多く,そのことがまた検索をより一層難しくしているという,図書館員泣かせの資料と言えよう。

今回,OPAC Serviceの対象となるのはBLDSC(英国図書館文献提供センター)が所蔵する会議録資料データベースと,NDLが所蔵する欧文会議録データベース(EB01)の2つである。前者は,収録数約28万件,収録対象は全分野で,雑誌記事,テクニカルリポート等も含んでいる。EB01は,1985年以降NDLが整理完了した科学技術関係欧文会議録(科学技術資料課所管資料および洋図書等)約24,000件のデータベースで,BLDSCのデータベースからコピーカタロギングしたデータが約90%を占めている。レコードフォーマットはBLDSCのデータベースとほぼ共通で,USMARCに準拠しているが,データ全体をアクセスポイントとする構造で,他のMARCフォーマットとは異っている。さらには,序文などAACRでは規定していない情報源からも必要な情報を収録して,書誌情報と言うよりもむしろ会議情報と呼ぶにふさわしいデータ構造となっている。

今回の試行は,NDLにおける初めてのOPACの試みで,利用者は,検索ソフト(EBIR)を通じて上記2つのデータベースに交互にアクセスすることができる。検索のメニュー画面の構成や検索機能はJ-BISCに準じている。現在のところ,当初は専用端末1台の予定で,試行期間は未定である。

大塚奈奈絵(おおつかななえ)