CA847 – LCがコピーカタロギング・セミナー開催 / 串田賢一

カレントアウェアネス
No.160 1992.12.20


CA847

LCがコピーカタロギング・セミナー開催

去る6月15日と16日の2日間,米国議会図書館(LC)でコピーカタロギング・セミナーが開かれた。セミナーにはLCの職員のほかに,OCLCやコロンビア,ハーバード,イェール,オハイオ州立の各大学図書館から招かれたゲストも参加し,LCにおけるコピーカタロギングの今後のあり方をめぐって活発な論議が展開された。

資料整理の過程で不可避的に生じてくる滞貨の山。この滞貨の山を減らしていくための有効な手段として期待されているのが,コピー目録作業(コピーカタロギング)である。コピーカタロギングをより一層普及させることによって,資料整理の遅れをなくし,目録レコードのタイムリーな利用を可能にしようというのが,今回のセミナー開催の狙いである。

まず,OCLCから招かれたゲストによって,図書館で働く職員の意識改革を行う必要性が強調された。旧来の作業手順に執着する傾向を打破し,より合理的な方法を模索する気運を高めなければ,真の業務改善は到底実現し得ない。コピーカタロギングの普及にも,そうしたお膳立てが必要だというのである。

次に,大学図書館から招かれたゲストたちが,各自の図書館で行われているコピーカタロギングの現況について報告した。この報告の中でLCの職員に大きなショックを与えたのは,彼らがLCの書誌レコードをもはや主要なコピーソースとは見なしていないという事実である。例えば,ハーバード大学図書館では,コピーカタロギングを行う際にLCのレコードを利用する割合が,1983年には全体の60%であったのに対し,1991年にはおよそ45%にまで落ち込んでいる。対照的に,OCLCのレコードへの依存度は増す一方である。一番早く利用可能となったレコードからコピーを行うという彼らの主張は,LCの資料整理の遅滞を暗に批判しているものと思われる。

LCの資料整理を一層スピードアップさせなければならない。この急務を果たすためにさまざまなプログラムが計画されていることを,LCの職員が報告した。いずれもコピーカタロギングを中心に据えたものである。しかしながら,コピーカタロギングの利用促進ばかりを重視するあまり,従来のオリジナルカタロギングがないがしろにされるということがあってはならない。ナショナルライブラリーとしてのLCには,自館の目録の整備に加えて,国の内外の図書館に書誌レコードを提供するという義務も課されている。コピーカタロギングによって自館の目録を太らせることも確かに大切だが,他の図書館のコピーソースとしてオリジナルレコードを充実させることもまた等しく重要なのである。そこで,これらのプログラムは,オリジナルカタロギングの役割を十分認識したものでなければならない。

さらに,LCがコピーカタロギングを有効に機能させていくためには,他の大規模図書館や書誌ユーティリティとの目録レコードの共有が不可欠である。目録レコード共有のためのプログラムとしては,既にNCCP(National Coordinated Cataloging Program:CA523参照)が進行中であるが,その評判は必ずしも芳しいものとは言えない。LCはこうした方面にも課題を残しているわけである。

最後に,LCがコピーカタロギング・プログラムを推進する際には,1)フルレベルのオリジナル目録レコードの作成に最大限努めること,および 2)コピーカタロギングを最大限に利用することという2つの目標を同時に達成できるように配慮すべきであるということが強調されて,セミナーは終了した。今後の動向が注目される。

串田賢一(くしだけんいち)

Ref: LC Inf. Bull. 51 (15) 338-340, 1992