カレントアウェアネス
No.181 1994.09.20
CA963
LCが一般誌を創刊
今年の11月からLCの企画による,図書館人でない者を対象とするCivilization: the magazine of the Library of Congress が発刊される。定期購読,書店,ニューススタンドによる発売のほか,$20払ってLC友の会の会員になると配布される。創刊号は14から16万部,第2号は30万部を予定し75万部を目標にしている。LCは,編集内容,掲載広告,出資者,宣伝について拒否権を有するほか,取締役会と編集委員会に代表を派遣する。LCは資料の提供や助言で全面的に協力するが,ワシントン市に編集事務所を,ニューヨーク市に営業事務所を置く商業出版社(L.O.C. Management Corp.)が刊行する。利益を上げることを目標に,商業誌で実績のある一流の編集者により,最良の書き手に寄稿を求める。スミソニアン博物館が一般大衆向けに刊行している Smithonian (1970年創刊 230万部)をモデルにしているようである。LCの所蔵する図書に限らない多彩な資料を文字と図版で紹介するほか,全米の図書館が行うイベントのカレンダー,書評などを掲載する。成功すれば,LCの有線テレビ,出版,展示,講演などによる活動を支援し,寄贈や寄付の誘因とするほか,図書館の支援基盤を拡大する。
この計画はおよそ6年前のl989年初めに,元ニューズウイーク社長のエドミストン(M. Edmiston)氏と雑誌コンサルタントのロビン(C.Robin)氏がLCに企画をもたらしたことに始まる。その年の12月にLCとの間でLCの名前を使って計画を進めることの予備契約が結ばれた。当初は1990年末に市場調査を行い,有望であれば91年末に月刊の創刊号が出るはずであった。1990年の大晦日に$18から$24の定期購読料を提示した21万6千通のダイレクトメールが発送された。通常の3%〜4%をはるかに上回る8%の反応があった。この結果を武器に雑誌を創刊するには,景気低迷の時代にあって$800万から$1400万を初期投資として集める必要があった。1991年から1992年にかけて,出版社や投機的資本家を含む2桁に上る有望な投資家が2人の発起人と会見し,LCを見て歩き,館長と面談し,市場調査結果を分析し,好感を示しつつも経済状況を理由に身を引いた。1993年になって景気が上向いたため,投資家たちも発刊計画も追い風を受けた。計画は隔月刊化に修正され両院合同委員会の承認も得られた。1994年4月に9万人を対象に再度市場調査が行われ,需要が引き続き存在することが確認された。2月から3月にかけてLOC社とLCのパートナーシップ契約がまとめられ,4月11日にビリントン館長が署名した。この契約によりLCはLOC社から,ライセンス料として$25万,雑誌の有料購読者1人につき$1,全米の寄託図書館用に雑誌1500部を受け取るほか,雑誌の2ページと購読者リストを自由に使うことができる。
坂本 博(さかもとひろし)
Ref: New Library of Congress magazine may debut in next year. LC Inf Bull 49(20) 1990.10.8
LC magazine passes its first test. LC Inf Bull 50 (7) 1991.4.8
Library announces new national magazine: Civilization to be launched in November. LC Inf Bull 53 (9) 1994.5.2