カレントアウェアネス
No.157 1992.09.20
CA830
ロス暴動で公共図書館も襲撃された!
1960年代に米国内で暴動が起きた際,図書館だけはマイノリティにとってあまりにも縁遠いものであったため,襲撃されなかったと聞くが,やはり最近は違うようだ。去る4月のロス暴動が起きた翌日,ロスアンゼルス公共図書館(LAPL)は中央館と危険な地域にある24分館を閉館したが,2分館が焼かれ,6分館が破壊された。
LAPLの被害は,備品やコレクションだけでも75万ドルにのぼる。それだけでなく,危険な地域の分館にガードマンを雇ったり,新たに購入した資料の整理にかかる経費も要る。そこでロスアンゼルス図書館財団の協力を得て,図書館サービス復旧のための基金を募るキャンペーンを始めた。前の野球コミッショナーであるPeter Ueberroth氏の努力もあって,市全体の運動となり,映画監督兼舞踏振付師のDebbie Allen氏より1万ドルの小切手が寄付された。LAPLは,分館が被害を受けた地域に自動車図書館を送るだけではなく,インフォメーション・センターとしての役割等,さらに一層の図書館サービスを提供する計画をしている。
中村規子(なかむらのりこ)
Ref: Libr J 117 (10) 18, 1992.6.1
Am Libr 23 (16) 423-4, 1992
川崎良孝 アメリカの図書館と“The disadvantaged” 現代の図書館 21 (1) 32-49, 1983