カレントアウェアネス
No.349 2021年09月20日
CA2007
動向レビュー
図書館を内側から問いなおす―米国社会とライブラリアンシップのゆくえ―
利用者サービス部政治史料課:吉家あかね(よしいえあかね)
1.はじめに
2020年1月、筆者の米国滞在(1)における用務先のひとつである米国国立公文書館(NARA)に関して、ある新聞記事を目にした。女性参政権100周年を記念する特別展示 “Rightfully Hers: American Women and the Vote”の会場入口に掲げられた、2017年ウィメンズマーチのパネル写真に加工が施されていたというのである(2)。マーチ参加者の掲げるプラカード上に見られる、トランプ前大統領の名前や女性器を指す用語などがぼかされていたこの件について、NARAは後日公式に謝罪声明を発表し(3)、展示会場にはあらためてオリジナルのパネル写真が、当初より小さなサイズで掲げられた(4)。
資料の改変を禁じるアーカイブの初歩的大原則が破られたことが、米国の文書館・図書館界に少なからぬ衝撃を与えたであろうことは想像に難くないが、次いで同様の事例として、米国議会図書館(LC)で催された女性参政権運動に関する特別展示“Shall Not Be Denied: Women Fight for the Vote”においても、公開直前に展示パネルの写真が差し替えられたことが報じられた(5)。会場には、2017年ウィメンズマーチの大規模なデモ行進を捉えたものに代わって、小規模デモに参加した10人程度を写したパネルが設置されたという。米国図書館協会(ALA)は、これらを看過しがたい検閲行為であるとして、速やかに抗議声明を発表した(6)。
しかし例えば「党派に拠らない非政治的な連邦政府機関として、政争への関与を避けるために(傍点筆者)」写真を改変したとするNARAの弁明(7)を目にするとき、それでは改変自体が非政治的たりうるかはさておき、そもそもアーカイブや図書館が当然の了解事項として掲げてきた「中立性」や「不偏性」が、どの程度有効でありうるかという疑問が残る。これは、規範にもとった特定の機関の非を打つ話ではない。展示に限らず選書やレファレンスといった業務を通して、資料や情報の選択を日常的に行う図書館全体に関わる話である。そもそも図書館によるさまざまな選択は、何をもって妥当とされてきた/いるのだろうか。社会と図書館の関係において中立的であるとは、どういう立場だろうか。図書館は常に「公平」なサービスを提供してきたであろうか。図書館において何が適切であり、公平であり、客観であるのか。従来当然のように受容してきた基準は、そもそも何によって、どのように定められているのか。
米国では図書館員自らがそうした批評的な問いを掲げながら、社会における図書館の機能と歴史を図書館の内側から問い直し、図書館の積極的未来を考える動きが盛んである。本稿では、そうした図書館再考の動きに触れながら、米国の一隅から見た社会と図書館、そしてライブラリアンシップの現在を報告する。なお、本稿における意見はすべて筆者個人のものであり、所属組織を代表するものではない。
2.パンデミックとBLMと図書館(2020年)
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、人種間の経済的格差が改めて明るみに出た2020年の米国社会(8)において、図書館界は情報アクセス格差の是正に腐心した。各図書館の多様な試みはALAの2020年度特別報告書に詳しい。多くの公共図書館が閉館を余儀なくされる状況で、Wi-Fi・ブロードバンド環境を開放して物理的なアクセス手段を提供した例などに加え、ワクチンや大統領選挙に関するフェイクニュースの普及に対抗して、オンラインのガイダンスを開設した例などが紹介されている(9)。さらには、ミネソタ州ミネアポリスの警察官によるジョージ・フロイド(George Floyd)氏殺害を契機にブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter : BLM)運動が再燃し、ALAも制度的人種差別(Systemic Racism)(10)への抗議を表明し、BLM運動への理解を促した(11)。
3.人種差別と図書館(1960年代まで)
総括して2020年は、図書館が人々と共にあり、共に闘った一年であったと言えるだろう。ただし米国の図書館史を紐解くと、図書館が常に人種差別に反対する良心的な存在であったわけではない。1960年代半ばまでの(特に米国南部の)公共図書館は、黒人の立ち入りや利用を実質的に認めなかったり、黒人専用図書館を別に設けるなどして黒人を隔離した(12)。平等とは名ばかりの「分離すれど平等」という理屈の下で人種差別が行われる場所のひとつであったのだ。隔離撤廃に向けてのALAの対応が相当に鈍かったことがしばしば指摘される(13)ように、米国の公共図書館は、人種差別に加担した主体としての過去を抱えている。
4.市民を教育する図書館(1800年代後半から)
さらに歴史を遡ると、米国の図書館は、フランクリン(Benjamin Franklin)に代表されるようなセルフメイド・マン(自力で道を切り拓いて成功する人)を養成したり、教養ある市民を育成するための啓蒙機関としての使命を帯びていた。ALAの創立者のひとりであるデューイ(Melvil Dewey)の発案によるALAの標語「最良の読書を、最大多数に、最小の費用で(The best reading, for the greatest number, at the least cost)」(1892年)(14)に象徴されるように、19世紀後半の図書館界においては、有用性を重んじる風潮に違わず、効率性が大きく尊重された。「最良の」資料とは、19世紀後半の移民増加や急激な産業化と都市化による社会の混迷に秩序をもたらし、市民の生活向上に役立つとされた「実際的な」内容のものや、知識階級による御墨付きを得た(西洋由来の)「有用な知」を伝えるものが意図され、例えば小説はしばしば軽んじられた(15)。
この時期におけるライブラリアンシップとは、西洋の知の宣伝を通して知的な市民を育成し、安定した社会の構築を目指す、エスタブリッシュメント側の使者であった。図書館は、語られるべき歴史、共有されるべき論理を上層から下層へと伝え、社会に浸透させる媒介として機能することが期待されていた。
5.歴史を語りなおす図書館
各々の資料に付与される件名標目は、それを作成して使用する主体が、その概念をどのように把握したかを示す。2021年3月、米国議会図書館件名標目(LCSH)の件名標目“Tulsa Race Riot”(タルサ人種暴動)が“Tulsa Race Massacre”(タルサ人種虐殺)に変更された(16)ことの意義は、その点にある。オクラホマ州タルサで推定300人とも言われる黒人が白人に虐殺され、居住地を焼き払われたこの事件の発生から100年を迎える2021年6月1日、現地を訪問したバイデン大統領が「これは暴動ではなく、虐殺である」と公式に表明する(17)のに先駆けて、図書館界がこの歴史的事件をどう認識するか、どう伝承していくかについて立場表明を行ったというわけである。
不当に語られてこなかった歴史を発掘して語りなおす(バイデン大統領の言を借りると「沈黙を埋める」(18))、こうした試みは米国内で近年顕著に見られるが、2021年1月、アンドリュー・メロン財団(Andrew W. Mellon Foundation)からの資金供与を受けてLCが設立したイニシアティブ“Of the People: Widening the Path” (19)も、その流れを目立って象徴するものであろう。LCはこのイニシアティブによって、資料の収集枠を拡大するのみならず、インターンシップや、デジタル面での組織間協力などを通して黒人やヒスパニック、先住民のほかマイナーなコミュニティとの関係を深め、あらためて“the People”の図書館として、米国の過去と現在を捉えなおし、包摂的な文化の共有を目指すとしている。翻ってそれは、これまでいかに白人以外の人種とコミュニティが、“the People”の想定するものから実質上排除されていたのかという問いでもある。今の米国はこの根源的な問い返しに対し、反省的に向き合いながら回答を再定義し、具現化していく過程にあり、図書館も例外なくその渦の中にある。
6.図書館を問いなおす図書館
さて、そうしたマクロな動きと並行して、あるいはさらに鋭い批評的眼差しをもって図書館の制度や業務を省みる動きも目立っている。その基礎にあるのは、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が刊行する“College & Research Libraries News”の2020年6月号でも、学術図書館界における近年のトレンドの一つとして取り上げられた(20)「クリティカル・ライブラリアンシップ」の思想である。「クリティカル・ライブラリアンシップ」は、図書館を取り巻く/図書館が生み出す制度を自覚し、分析し続けることにより、社会正義の実現を目指す。
ドラビンスキ(Emily Drabinski)の定義によれば、図書館業務とは、資料収集・組織化・利用提供・保存の過程を通して「知的世界を構造化する」ものである。「図書館は(略)レイシズムや家父長制、資本主義に特徴づけられた制度において生み出される。クリティカル・ライブラリアンシップは、図書館が構造化するものと、その基礎となるイデオロギーを検証しながら、図書館業務を考えるためのフレームワークを提供する。」(21)
7.図書館をめぐる力学-図書館を/が動かすもの
このフレームワークを通すと、図書館業務は決して中立的ではない。図書館業務のあらゆる過程が、一見認識しにくい形で支配的なイデオロギーに支えられている。現代の蔵書では、例えば白人以外の著者による作品の割合が、コミュニティ内の人口割合に比べて低いことが指摘される(22)。資料の認知度や入手の容易度、あるいは選書担当の采配スキル等、さまざまな要因により、蔵書の偏りは容易に起こり得るが、その背景には意図的か否かを問わず、何らかのイデオロギーがある。電子リソースの購読契約を見ても、出版社やベンダの意向、つまり市場社会の影響を受けずにいることは不可能である。図書館の支出動向すら、システムベンダに筒抜けなのだ(23)。現代の図書館における偏りは、自然な装いで図書館に溶け込み、日常風景と化している。
資料を整理する際に用いる分類規則や件名標目も、世界を認識するにあたって「標準」とみなされた型を基に定められているが、「標準」は自然に形成されるものではない。「客観性」が担保されているという共通了解があるとしても、それは何が「客観」であるべきかという中心座標を決定する権力の下で、特定の(ここでは西洋の「規範的な」価値観に基づく)知識体系や用語法を反映して作成されたものである。そもそも資料組織化とは、既存のジャンルの下で分類されることを拒否する学際的な著作すら、否応なく既存の分類下に置く権力的行為であり(24)、これによって「標準」の認識体系に沿った知の世界が、一定の了解の下で再生産される。実際にデューイは、デューイ十進分類法(DDC)により体系化された知が人々に還元されることによって、現実社会に秩序がもたらされると考え(25)、図書館における知の体系化が持つ作用について十分自覚的であった。
図書館員は権力の媒介者であり、図書館自体が権力の顕現する場所としての本質を持つということである。身近な例を挙げると、図書館は利用者向けに利用規則を設け、閲覧環境や条件を決定する権限を持つ。資料の利用を保障する一定の秩序を実現するために必須のこの権限が、当時の社会制度をそのまま反映する形で、最も醜く行使されたのが、先述の人種隔離期の公共図書館であろう。
クリティカル・ライブラリアンシップの下では、あらゆる業務過程が分析対象となる。クリティカル・ライブラリアンシップは、現在の図書館を成り立たせ、取り巻いている制度、あるいは業務上の慣行を支えるレトリックを解体・再点検し、図書館の歴史・制度・業務に揺さぶりをかける。その視点の先にあるのは、効率性を追求する「カイゼン」ではない。図書館の常態において、何が(誰が)どう作用するのか、何を(誰を)どう利する/害するのかという力学関係を具体的に把握した上で、倫理的な改善を図り、さらには、よりよい図書館と社会の構築を目指すことである。もちろん、実務上では例えば図書館員がベンダとの契約を終了したり、まったく新しい基準を用意して資料組織化を一斉にやりなおすといった劇的な改革が望めるわけではないだろう。図書館と社会の発展に寄与できるよう、図書館員個人が日々の業務において批評的な視点を備え、地道に改善を試みるのが現実的な着地点ではある。
8.図書館を問う図書館員コミュニティ
Twitter上のハッシュタグ「#critlib」(26)は、個人レベルの実践を超えるための、細やかながら堅実な試みである。志を共にする図書館員同士が、このハッシュタグの下で参考情報を共有したり、各自の遭遇したトラブルについて助言を乞うたり、自身の取組みを紹介して啓蒙し合う、オンライン上の疑似コミュニティとして機能している。例えばBLM運動が再燃した2020年5月には、公民権運動時代に南部の白人専用図書館でシットイン(座り込みによる抗議行動)を行った黒人学生のグループ「トゥガルー・ナイン」(the Tougaloo Nine)(27)についての情報が投稿されたり(28)、目録作成領域に特化した派生タグ「#critcat」では、LCSHの日系人収容に関する件名標目に含まれる細目“Evacuation and relocation”(退避と移動)を“Forced removal and incarceration”(強制退去と収容)に変更する提案がLCの LCSH再検討リストに掲載されたことなどが紹介されている(29)。
学術図書館界においてクリティカル・ライブラリアンシップの認知度は高まっており、一般的なライブラリアンシップの定義に含まれる程に至っている。しかし、クリティカル・ライブラリアンシップは、図書館の日常風景を包む見慣れたヴェールを引きはがし、その裏にある偏向をさらけ出すための、いわば「無作法な」眼差しである。図書館のあるべき姿を模索する問いかけは、図書館の中心からではなく、周縁から鋭角的に発せられなければならない。クリティカル・ライブラリアンシップが図書館界で広く認知されるのは望ましいことである一方、日常風景に溶け込んでしまっては、その批評性が損なわれかねないという皮肉な宿命がある。その批評的レンズを曇らせないため、平凡化の道を避けつつ、周縁から“cause trouble” (30)(問題提起)し続けなければならない。
しかし、そもそもその批評的実践が不十分であるとする批判も少なくない。そのひとつに、クリティカル・ライブラリアンシップの批評的眼差しは当然、遠景としての図書館制度・業務だけでなく各図書館員自身の有り様にも向けられるべきところ、それがなされていないとする指摘がある。例えばフェレッティ(Jennifer A. Ferretti)は、自らが非白人(Person of Color)であることを書き添えつつ、白人が館員の圧倒的多数(83%以上)を占める(31)ような、不公平な環境を維持しながらクリティカル・ライブラリアンシップを掲げることは、見せかけのしぐさ(performative)(32)にすぎないと道破する(33)。また、人種差別や社会的不平等に意識の高いことを指す俗語“woke”が、具体的な取組を伴わない表面的な姿勢を意味するようになった経緯を引き合いに出しつつ、クリティカル・ライブラリアンシップを標榜する図書館員が、その自負(being)に甘んじるあまり、何をなすべきか(doing)という実践が等閑視されていると指摘する(34)。
9.人種差別と図書館(現代)
本来図書館にまつわる万象を再検討の対象とするはずのクリティカル・ライブラリアンシップではあるが、人種差別への対処は後手に回ったということのようである。非白人の図書館員は、白人中心の労働環境に同化することを当然のように要請されるという指摘は、ライブラリアンシップそのものが暗に白人性(whiteness)、つまり白人中心の価値観に拠るものであることを物語る(35)。現在の人種差別は、「鮫ではなく海水である」(36)という比喩が示すように、一過性の見えやすい攻撃ではなく、法制度や社会規範のなかに当然のように取り込まれているために一見目立たないような差別を意味するが、それは図書館環境においても同様である。図書館界が意図せずとも匿ってきたらしい人種差別は、単に「多様性」(diversity)や「包摂」(inclusion)を使命や戦略目標に掲げたり、非白人の雇用を一時的に増やしたりすることで解決する問題ではない。むしろ「反人種差別」が、多数派である白人の手で「多様性」や「包摂」といった穏便な表現にすげ替えられて標榜されることにより、実際的な対応がないがしろにされているとする告発(37)は重い余韻を残す。
10.おわりに
当然のことだが、ライブラリアンシップにおいて図書館を批評すること、ときにはそれが痛烈な批判ともなることは、すなわち図書館の機能を否定することでも価値を貶めることでもない。図書館の可能性を模索することである。米国の図書館員が、図書館の制度に怒りと苛立ちを見せるとき、そのすき間からは図書館が社会にもたらす未来への期待がはっきりうかがえる。もちろん、どういう未来像を抱くかは、図書館の種類や館員個人によって異なる。一般的に公共図書館では、コミュニティの価値観を濃く反映した穏やかなアプローチになるのに比べ、学術図書館ではより先鋭的なものになりうるだろう。
いずれにせよ、米国の図書館の動きを追うと、社会と図書館が深く関わり連動していることを強く実感する。図書館は、社会から隔てられた静謐な聖域ではない。社会の歪みは図書館にも潜む。そして社会のうねりはそのまま図書館界にこだまする。その雑音と反響のなかで、これまで見過ごされていた人々や取りこぼされていた価値観を見定め、より良い(あるいは別の)社会/未来を希求する図書館(員)の気概を思うとき、「中立不偏」の神話は空ろに響いてならない。
(1) 筆者は、国立国会図書館が行っている日本占領関係資料収集事業の一環として、2019年秋から米国ワシントンD.C.を拠点に、所蔵機関調査、資料確認および資料デジタル化のための準備・調整作業に従事している。
(2) Heim, Joe. “National Archives exhibit blurs images critical of President Trump”. The Washington Post. 2020-01-18.
https://www.washingtonpost.com/local/national-archives-exhibit-blurs-images-critical-of-president-trump/2020/01/17/71d8e80c-37e3-11ea-9541-9107303481a4_story.html, (accessed 2021-06-21).
(3)“National Archives Apologizes for Alteration of Women’s March Image”. NARA. 2020-01-18.
https://www.archives.gov/press/press-releases/2020, (accessed 2021-06-21).
(4) フェリエロ(David S. Ferriero)NARA館長の声明によると、展示写真が党派性を帯びる可能性と、一般向け展示としては不適切な用語に対する苦情を危惧しての策であったという。資料がNARA所蔵のものではなくライセンス取得したものであったこと、掲示場所が展示会場内ではなく、会場入口手前であったことも判断を後押ししたという。
“Accepting Responsibility, Working to Rebuild Your Trust”. The National Archives AOTUS blog: the blog of the Archivist of the United States. 2020-01-22.
https://aotus.blogs.archives.gov/2020/01/22/accepting-responsibility-working-to-rebuild-your-trust/, (accessed 2021-06-21).
(5) Heim, Joe. “It wasn’t just the National Archives. The Library of Congress also balked at a Women’s March photo”. The Washington Post. 2020-01-31.
https://www.washingtonpost.com/local/it-wasnt-just-the-national-archives-the-library-of-congress-also-balked-at-a-womens-march-photo/2020/01/31/491f4f3e-42b3-11ea-b5fc-eefa848cde99_story.html, (accessed 2021-06-21).
(6)“ALA responds to concerns about recent efforts to exclude materials”. ALA. 2020-02-04.
https://www.ala.org/news/press-releases/2020/02/ala-responds-concerns-about-recent-efforts-exclude-materials, (accessed 2021-06-21).
(7) Heim, Joe. “National Archives exhibit blurs images critical of President Trump”. The Washington Post. 2020-01-18.
https://www.washingtonpost.com/local/national-archives-exhibit-blurs-images-critical-of-president-trump/2020/01/17/71d8e80c-37e3-11ea-9541-9107303481a4_story.html, (accessed 2021-06-21).
(8) Weller, Christian E.; Figueroa, Richard. “Wealth Matters: The Black-White Wealth Gap Before and During the Pandemic”. Center for American Progress. 2021-07-28.
https://www.americanprogress.org/issues/race/reports/2021/07/28/501552/wealth-matters-black-white-wealth-gap-pandemic/, (accessed 2021-08-10).
(9) ALA. State of America’s Libraries 2021, Special Report: Covid-19. ALA, 2021, 25p.
https://www.ala.org/news/sites/ala.org.news/files/content/State-of-Americas-Libraries-Report-2021.pdf, (accessed 2021-06-21).
(10)“systemic racism”は“institutional racism”とほぼ同義か、より広義の語として用いられ、日本語では「制度的人種差別」と訳されることが多い。堂本によると「制度的人種差別」とは「一見、差別には見えず、ゆえに解消するのも非常に難しい異なる種類の差別」であり、「社会的弱者が不利となる仕組みが社会構造に取り込まれており、黒人が黒人として生まれただけで、以後の人生が自動的に不利の連続となることを指す。」
堂本かおる. “白人警官はなぜ黒人を殺害するのか 日本人が知らない差別の仕組み : 「制度的人種差別」を知っていますか”. 文春オンライン. 2020-06-08.
https://bunshun.jp/articles/-/38288, (参照 2021-08-17).
(11)“ALA statement condemning police violence against BIPOC, protesters and journalists” . ALA. 2020-06-11.
https://www.ala.org/news/press-releases/2020/06/ala-statement-condemning-police-violence-against-bipoc-protesters-and, (accessed 2021-06-21).
“Libraries Respond: Black Lives Matter”. ALA.
https://www.ala.org/advocacy/diversity/librariesrespond/black-lives-matter, (accessed 2021-06-21).
(12)人種隔離期における米国南部の公共図書館については以下に詳しい。
Wiegand, Wayne A.; Wiegand, Shirley A. The Desegregation of Public Libraries in the Jim Crow South: Civil Rights and Local Activism. Baton Rouge, Louisiana State University Press, 2018, 266p.
(13)Ibid, p. 185-202.
Selby, Mike. Freedom Libraries: The Untold Story of Libraries for African Americans in the South. Lanham, Rowman & Littlefield, 2019, p. 6-9.
(14)1892年に採用され、レーガン政権期の1988年に再承認されている。
“Mission & Priorities”. ALA.
https://www.ala.org/aboutala/missionpriorities, (accessed 2021-08-10).
Dewey, Melvil. Origin of A.L.A. Motto. Public Libraries. 1906, 11(2), p. 55.
https://hdl.handle.net/2027/hvd.hxdkdl?urlappend=%3Bseq=85, (accessed 2021-08-10).
(15)Wiegand, Wayne A. Part of Our Lives: A People’s History of the American Public Library. New York, Oxford University Press, 2015, p. 50-55.
(16)“Library of Congress Accepts OU Libraries’ Proposal to Change Subject Heading to ‘Tulsa Race Massacre’”. The University of Oklahoma. 2021-03-22.
https://www.ou.edu/web/news_events/articles/news_2021/library-of-congress-accepts-ou-libraries-proposal-to-change-subject-heading-to-tulsa-race-massacre, (accessed 2021-06-21).
“Tulsa Race Massacre, Tulsa, Okla., 1921”. Library of Congress Authorities.
https://lccn.loc.gov/sh2019000150, (accessed 2021-06-21).
事件当時より“the Tulsa Race Riot”と称することにより、保険会社が被害家屋への補償金支払いを拒む意図があったとする説もある。
“1921 Tulsa Race Massacre”. Tulsa Historical Society and Museum.
https://www.tulsahistory.org/exhibit/1921-tulsa-race-massacre/#flexible-content, (accessed 2021-06-21).
(17)Weinberg, Abigail. “Biden in Tulsa: “This Was Not a Riot. This Was a Massacre””. Mother Jones. 2021-06-01.
https://www.motherjones.com/politics/2021/06/biden-in-tulsa-this-was-not-a-riot-this-was-a-massacre/, (accessed 2021-06-21).
(18)Ibid.
(19)“Library of Congress Enriches America’s Story by Connecting with Minority Communities, Funded by $15M Andrew W. Mellon Foundation Grant”. LC. 2021-04-13.
https://www.loc.gov/item/prn-21-002/, (accessed 2021-06-21).
(20)“2020 top trends in academic libraries”. College & Research Libraries.
https://crln.acrl.org/index.php/crlnews/article/view/24478/32315, (accessed 2021-06-21).
(21)Drabinski, Emily. “What is critical about critical librarianship?”. Art Libraries Journal. 2019, Volume 44, Special Issue 2: Critical Art Librarianship, p. 49-57.
https://doi.org/10.1017/alj.2019.3, (accessed 2021-06-21).
(22)ALA. State of America’s Libraries 2021, Special Report: Covid-19. ALA, 2021, 25p.
https://www.ala.org/news/sites/ala.org.news/files/content/State-of-Americas-Libraries-Report-2021.pdf, (accessed 2021-06-21).
(23)“Trends in Physical and Electronic Resource Usage in U.S. Academic Libraries”. Ex Libris. 2021-04-28.
https://exlibrisgroup.com/blog/changing-priorities-trends-in-physical-and-electronic-resource-usage-in-us-academic-libraries/, (accessed 2021-06-21).
(24)これは主題作業に従事していた筆者の実感でもある。また、自らの性的指向が既存の分類に収まらないことへの戸惑いや憤りに拠って、件名や分類規則に潜む権力を指摘する声は珍しくない。例えば以下がある。
de Courcy Hinds, Jess. “Oh, Dewey, Where Would You Put Me?”. The New York Times. 2021-06-04.
https://www.nytimes.com/2021/06/04/style/modern-love-oh-dewey-where-would-you-put-me.html, (accessed 2021-06-21).
Drabinski. op. cit.
(25)Wiegand. op. cit., p. 50.
(26)#critlib. Twitter.
https://twitter.com/hashtag/critlib, (accessed 2021-06-21).
“Twitter chats”. critlib: critical librarianship, in real life & on the twitters.
http://critlib.org/twitter-chats/, (accessed 2021-06-21).
(27)Wiegand, Wayne A. “Desegregating Libraries in the American South: Forgotten heroes in civil rights history”. american libraries. 2017-06-01.
https://americanlibrariesmagazine.org/2017/06/01/desegregating-libraries-american-south/, (accessed 2021-06-21).
(28)@jessamyn. Twitter. 2020-05-30.
https://twitter.com/jessamyn/status/1266789481824337920, (accessed 2021-06-21).
(29)@violetbfox. Twitter. 2021-05-21.
https://twitter.com/violetbfox/status/1395817413745184771, (accessed 2021-06-21).
(30)Seale, Maura. Critical Library Instruction, Causing Trouble, and Institutionalization. Communications in Information Literacy. 2020, 14(1), p. 75–85.
https://doi.org/10.15760/comminfolit.2020.14.1.6, (accessed 2021-06-21).
ここでの“cause trouble”は、米公民権運動の指導者の一人であった故ジョン・ルイス下院議員が好んで用いた表現「(社会変革のために必要な)良いトラブル、必要なトラブル(good trouble, necessary trouble)」を連想させる。
(31)2020年時の数値。
“Library Professionals: Facts & Figures”. Department for Professional Employees, AFL-CIO. 2020-06-10.
https://www.dpeaflcio.org/factsheets/library-professionals-facts-and-figures, (accessed 2021-06-21).
(32)2020年のBLM運動再燃以後、ネガティブなニュアンスを匂わせて用いられることが顕著となり、オンライン版メリアム・ウェブスター辞典に新しい語義 “disapproving : made or done for show (as to bolster one’s own image or make a positive impression on others)”が追加された。
“Performative”. Merriam-Webster.
https://www.merriam-webster.com/dictionary/performative, (accessed 2021-06-21).
(33)Ferretti, Jennifer A. Building a Critical Culture: How Critical Librarianship Falls Short in the Workplace. Communications in Information Literacy. 2020, 14 (1), p. 134-152.
https://doi.org/10.15760/comminfolit.2020.14.1.10, (accessed 2021-06-21).
(34)Ibid.
(35)Leung, Sofia Y.; López-McKnight, Jorge R. “Introduction: This is Only the Beginning”. Knowledge Justice: Disrupting Library and Information Studies through Critical Race Theory. Leung, Sofia Y.; López-McKnight, Jorge R., ed. Cambridge, MIT Press, 2021, p. 1-41.
https://doi.org/10.7551/mitpress/11969.003.0002, (accessed 2021-06-21).
(36)Tran Myhre, Kyle. “white supremacy is not a shark; it is the water”. NOT A LOT OF REASONS TO SING, BUT ENOUGH. 2020-11-22.
https://guante.info/2020/11/22/nottheshark/, (accessed 2021-06-21).
(37)Leung; López-McKnight. op. cit., p. 2.
Ref:
Leung, Sofia Y.; López-McKnight, Jorge R., ed. Knowledge Justice: Disrupting Library and Information Studies through Critical Race Theory. Cambridge, MIT Press, 2021, 348p.
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[受理:2021-08-19]
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https://current.ndl.go.jp/ca2007
DOI:
https://doi.org/10.11501/11727161
Yoshiie Akane
Pursuing the Library of the People, by the People, for the People: Librarianship in the U.S.