カレントアウェアネス
No.337 2018年9月20日
CA1933
主権者教育と高校図書館
はじめに
2015年6月17日、公職選挙法が71年ぶりに改正され、選挙年齢が18歳以上に引き下げられた。そして、第24回参議院議員通常選挙の公示日(2016年6月22日)以降の選挙から適用された。従来と異なり、高校在学中に有権者となる生徒がいる現状から、国(総務省、文部科学省(文科省)、を中心に)は主権者教育のあり方を検討した。文科省では、主権者教育の目的として「単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせる」ものとし(1)、教育活動への具体的な取組を促している。それに伴い、2008年9月に子どもの読書サポーターズ会議の報告書において提言された高校の図書館の機能(E850参照)(2)を活用する期待も高まってきている。
一方、国際的な潮流としての国際連合総会で採択された「児童の権利に関する条約」(3) 第28条と日本国憲法第26条(4)における「教育権」の関係や、「ユネスコ学習権宣言」(5)での「学習権」(6)について再考する機会ともいえる。1996年の中央教育審議会の第1次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」で示された、自ら学び自ら考えるなどの「生きる力」を育成する理念(7)のもとに展開されてきた教育政策が、今回の法改正により「高校生の政治活動」(8)という課題(9)(10)を内包しているからである。
1. 教育政策と学校図書館
まず、公職選挙法の改正を踏まえた、国の主権者教育に関する政策を見ておきたい。
総務省と文科省は2015年秋に、高校生向け副教材『私たちが拓く日本の未来』を作成し、全国の高校生に配布した。この教材では学習活動を通じて考えたいこととして、「国家・社会の形成者として求められる力」を4点あげている。また、学習方法として「いわゆるアクティブ・ラーニング(AL)型の授業が世界中で注目」されているとある(11)。
2016年12月の総務省意識調査の結果によると、「選挙や政治に関する授業を受け」ると投票率がやや上がる、「模擬選挙を体験」が効果的との回答が最も多い等の報告がある(12)。同省の有識者会議「とりまとめの公表」(2017年3月)では「発達段階に応じた取組の方向性」の高校生段階として、公民科目以外での教育、政治事象を題材としたディベート、実際の選挙を題材とした模擬選挙、新聞記事やニュースの活用、特別支援学校の工夫を凝らした取組等が求められているとの課題が報告されている(13)。
文科省の「これからの学校図書館の整備充実について(報告)の公表について」(2016年10月)によると、課題のひとつとして「主権者教育の推進など新たなニーズに応えられる図書館資料の整備」がある。近年行われた学校図書館法の改正(1997年、2014年)、子どもの読書推進に関する法律 (2001年)や文字・活字文化振興法(2005年)の制定でも「学校図書館ガイドラインの作成」や「学校司書のモデルカリキュラムの作成」という具体的な方策をあげ、学校図書館を資料面で支援する場所として位置づけている。報告本文の「はじめに」では、地方財政措置等を行ってきた経過を説明し、学校図書館の役割の重要性と利用の必要性を強調している(14)。
また「学校図書館の現状に関する調査」(2016年10月)では、学校図書館における人的整備・物的整備、読書活動の状況等を示している(15)。調査結果からは、学校図書館の整備・充実に向けての態勢づくりが急務であることがわかる。
また、2017年4月24日付けの「教育新聞」では、「主権者教育の充実を図る 文科省の学校図書館施策【学校図書館特集】」「新聞複数配備の財政措置、学校司書の配置を拡充へ」の見出しで、学校司書配置が5か年計画で新たに位置づけられたことや、高校に初めて新聞配備に係る措置が行われた等の報道がある(16)。
2. 高校図書館での取組例
このような国の施策を受けて、高校図書館での取組が広がり進んできた。いくつか事例を見ておきたい。
高校図書館への新聞の複数紙配置により、これまで以上に新聞記事の切抜きでの活用やNIE(Newspaper in Education)での活用が見られる(17)。学校図書館では、以前から資料を公立図書館から借り入れることは行われていたが、主権者教育への対応でさらに連携が進んだ事例もある(18)。他に、笠岡市(岡山県)内の高校図書館に市議会の広報誌が寄贈され(19)、佐賀県内の高校図書館では、投票日を知らせる「三角柱ポップ」が置かれた(20)例がある。
神奈川県立湘南台高等学校(藤沢市)では、主権者意識を育む授業が定着し、総合的な学習の時間を中心に図書館資料を活用して時事問題を調べている(21)。同校は県教育委員会の「シチズンシップ教育(22)活動開発校」指定を契機に主権者教育に力を入れている。また、島根県立矢上高等学校(邑南町)のウェブサイトには「図書委員が「主権者教育についてのワークショップ」を企画実施しました」(23)とのタイトルのブログ記事が掲載されており、「未来の邑南町長選挙」と題した図書委員企画で、町役場職員も参加して投票を実施した後、候補者を選ぶ時に重視した点、各候補の政策のメリット・デメリットについて、グループで意見交換を行ったことが紹介されている。
東京都立国際高等学校(目黒区)では、「学校図書館において、どのような主権者教育が可能なのか」を模索し、公民科教師と司書が協働で授業を行っている(24)。「制度説明、リテラシー、話し合い(ディスカッション)、合意形成、政策作り、請願、模擬選挙、模擬議会」の8つに主権者教育を分類し、実践している。
筆者の勤務する北海道札幌南高等学校(札幌市)では、図書局(25)主催「ライブ・イン・ライブラリー」(26)で、2年生女子による「日本とドイツの若い人の政治参加と政治教育」が催され、生徒40人余の参加者を前にドイツの政治教育の実際を統計やグラフを示しながら話した。ライブ後には、質問や活発な意見交換が行われた(27)。
3. 高校図書館としての姿勢
最後に、筆者の実践のなかで考えている主権者教育と高校図書館の関係について述べて終わりとしたい。
札幌南高等学校の図書局活動は、教育課程のなかの「特別活動」のひとつであり、日常的に生徒の主体性を育む教育活動である(28)(29)。2014年から始まった上述の「ライブ・イン・ライブラリー」では、生徒が身近な疑問や興味、関心をもとに発表する。他の生徒による新たな知識や価値の提起により、発表者のみならず参加者も自分の思い込みや先入観に気づき、なぜなのかと問いなおすきっかけを得る。ライブでは必ずしも一つの結論を出すことを目標とせず、「まとめ」をする必要もシナリオもない。多様性を自然と認め合い、そこで今語られているというライブ感を体験する。同窓生や地元の大学からの協力も得て、社会とかかわることで視野の広がりも期待される(30)。
図書局の広報紙『四面書架』(31)は、生徒自身の主体的な問題意識が文章となって表現される。編集段階での話し合いによる共感と批評は、想像力をたすけにして読者との交流へつながる。学校祭での展示は、テーマ決め、役割分担、中間発表を経て互いに協力し、試行錯誤しながら取り組む。自分で判断し行動しなければならない場面もあり、受身ではなく積極的に関わる企画が、互いを尊重する雰囲気を自ずと形作っていく(32)。
図書局の活動を中心として、図書館が日常的に思考の場となり高校生同士で学ぶ創造的な空間となる。授業で習得した知識をもとにそれらを広げ深め、個別具体的な課題に対応する。ものごとの多面性・多様性、対立・矛盾等について考えるための本や資料を共有し、互いに学びあう場として、「学習権」を図書館は保障する。自ら考える人を育てつつ問題意識を発現させ思考にいざなう。その葛藤の過程から、主権者であるという自覚が育まれていくのだろう。
学習指導要領改訂により、2022年度から高等学校では新教科「公共」が導入される(33)。
実際のところ、「公共」の授業での主権者教育のみでは生徒が今後向き合う社会での政治参加には不十分だろう。図書館に収集されている情報資料を、広く文化、芸術、歴史、経済、政治、自然、科学、技術という、いうならば日本十進分類法(NDC)の分類記号0から9までの世界全体を個々の政治課題と結びつけながら読み、生徒たち自身が自由に思考し論理的な考えをもとに行動につなげていくこと。思考を保ち、不安定ななかからも希望を見出していくことが重要となってくる。そこでは、評価される対象としてではなく、効率よくという呪縛からも解き放たれる時間のなかで学習することが求められる。自分がそして他者も人間としての尊厳をもつ存在だと気づくことによって、主権者意識が芽生え、育っていく。図書館で出会う生徒一人ひとりとの会話をとおして筆者が日々感じ教えられるのはそういうことである。
図書館のもつ自由の精神が、知性を育む場として機能する。教育課程の展開に寄与する高校図書館の姿を、これらの活動に見出せるだろう。
(1)“「主権者教育の推進に関する検討チーム」最終まとめ~主権者として求められる力を育むために~”. 文部科学省. 2016-03-31.
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/1369157.htm, (参照 2018-07-13).
(2)“児童生徒の「読書センター」および「学習・情報センター」としての機能”. これからの学校図書館の活用の在り方等について(報告). 子どもの読書サポーターズ会議. 文部科学省, 2009-03, p. 3.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/meeting/__icsFiles/afieldfile/2009/05/08/1236373_1.pdf, (参照 2018-08-03).
(3)“「児童の権利に関する条約」(全文)”. 外務省.
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html, (参照 2018-07-13).
中学生が自らのこととして翻訳を試みた以下の文献を上記外務省の公式訳と比較すると、子どもの権利としての教育・学習権が一層明確になる。
小口尚子, 福岡鮎美. 子どもによる子どものための「子どもの権利条約」. 小学館, 1995, 183p.
(4)“日本国憲法(条文抜粋)”. 教育基本法資料室へようこそ!. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/a002.htm, (参照 2018-08-13).
(5)“ユネスコ学習権宣言”. UNESCO Bangkok Office.
http://www.unescobkk.org/fileadmin/user_upload/appeal/Literacy_and_Conrtinuing_Education/Meetings_Conferences/RegionalResearchWorkshop/Documents/UNESCRIGHT_TO_LEARN.pdf, (参照 2018-08-03).
(6)「学習権」とは、藤田によれば「学習への権利のこと」であり、「他者に一方的に教えられるものではなく、学習者自身が教えられたこと、その他さまざまな問題に疑問をもって、質問し、また、みずから各種の現象を分析するという、学習者の主体性を認めさせる権利」とされる。
藤田秀雄.“ユネスコの学習宣言”. ユネスコ学習権宣言と基本的人権.藤田秀雄編著. 教育史料出版会, 2001, p. 20.
(7)“「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」 <中央教育審議会第一次答申の骨子>”. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/old_chukyo/old_chukyo_index/toushin/attach/1309634.htm, (参照 2018-07-13).
(8)“高等学校等における政治的教養と教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)”. 文部科学省. 2015-10-29.
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1363082.htm, (参照 2018-07-13).
(9)1960年代末の国際的な学生運動は高校生の政治活動にまで及び、その結果文部省(当時)の俗に言われる「69年通達」によって高校生の政治活動は禁止されていた。
“高等学校における政治的教養と政治的活動について(昭和44年10月31日文部省初等中等教育局長通知)”. 文部科学省. 1969-10-31.
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/118/shiryo/attach/1363604.htm, (参照 2018-07-13).
この時期の雰囲気は、以下の文献などに描かれている。
盛田隆二. いつの日も泉は湧いている. 日本経済新聞出版社, 2013, 317p.
四方田犬彦. ハイスクール1968. 新潮社, 2004, 255p.
小林哲夫. 高校紛争1969-1970. 中央公論新社, 2012, 299p., (中公新書, 2149).
(10)今回の法改正による高校生の政治活動の一部容認によって、新しい動きが始まっているが、現場での対応は分かれている。
さあ 政治を語ろう 18歳選挙権 高校生、模擬投票や討論 デモ参加「普通のことに」. 朝日新聞. 2015-11-10, 朝刊, p. 39.
政治活動 「届け出」校則に 愛媛県立高 全59校. 毎日新聞, 2016-03-16.
https://mainichi.jp/articles/20160316/k00/00e/040/229000c, (参照 2018-07-13).
高校生の政治活動 事前届け出、都道府県で対応分かれる. 毎日新聞. 2016-05-17.
https://mainichi.jp/articles/20160517/k00/00m/040/108000c, (参照 2018-07-13).
(11)私たちが拓く日本の未来―有権者として求められる力を身に付けるために. 総務省, 文部科学省. 104p.
http://www.soumu.go.jp/main_content/000492205.pdf, (参照 2018-07-13).
「国家・社会の形成者として求められる力」として、「論理的思考力(とりわけ根拠をもって主張し他者を説得する力)」「現実社会の諸問題について多面的・多角的に考察し、公正に判断する力」「現実社会の諸課題を見出し、協働的に追及し解決(合意形成・意思決定)する力」「公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲や態度」の4点を挙げている(p. 30)。また、「アクティブラーニング(AL)型の授業」として「正解が一つに定まらない問いに取り組む学び」「学習したことを活用して解決策を考える学び」「他者との対話や議論により、考えを深めていく学び」の3つの学習方法を示している(p. 31)。
(12)“主権者教育等に関する調査及び18歳選挙権に関する意識調査の結果”. 総務省. 2016-12-27.
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei15_02000153.html, (参照 2018-07-13).
(13)“「主権者教育の推進に関する有識者会議」とりまとめの公表”. 総務省. 2017-03-28.
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei15_02000163.html, (参照 2018-07-13).
(14)“これからの学校図書館の整備充実について(報告)の公表について”. 文部科学省. 2016-10-20.
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/115/houkoku/1378458.htm, (参照 2018-07-13).
“学校図書館法(昭和28年法律第185号)抄”. 子どもの読書活動推進ホームページ. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/hourei/cont_001/011.htm, (参照 2018-07-13).
“子どもの読書推進に関する法律”. 子どもの読書活動推進ホームページ. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/hourei/cont_001/001.htm, (参照 2018-07-13).
“文字・活字文化振興法 (平成十七年七月二十九日法律第九十一号)”. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/080617/005.pdf, (参照 2018-07-13).
“平成24年度予算:新5か年計画始動、学校司書配置・新聞配備に予算”. 全国学校図書館協議会.
http://www.j-sla.or.jp/slanews/post-17.html, (参照 2018-07-13).
(15)“平成28年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について”. 文部科学省. 2016-10-13.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/1378073.htm, (参照 2018-07-13).
“平成26年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について”. 文部科学省. 2014-06-02.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/1358454.htm, (参照 2018-07-13).
(16)主権者教育の充実を図る 文科省の学校図書館施策【学校図書館特集】:新聞複数配備に財政措置 学校司書の配置を拡充へ. 教育新聞. 2017-04-24.
https://www.kyobun.co.jp/feature1/pf20170424_02/, (参照 2018-07-13).
(17)主権者教育に新聞活用し充実. 高知新聞. 2018-03-03, 朝刊, p.18.
(18)[教育ルネサンス]楽しい図書館(4)社会の制度学ぶ拠点(連載). 読売新聞. 2010-02-06, 朝刊, p.17.
群馬県の藤岡市立東中学校の事例。図書室を拠点とした調べ学習が、「市民性を磨く教育」をバックアップしている事を紹介している。学校図書室の資料で不十分な場合、市立図書館の資料を借り出し、市役所や社会保険事務所からパンフレットを入手し、分からないところは関係機関に出向いて直接質問したとのことである。
(19)笠岡市議会:行政や政治に関心を 全4高校に広報誌配布. 毎日新聞. 2016-6-16, 朝刊[岡山], p. 24.
(20)参院選:今夏の18、19歳投票率 佐賀選挙区で45.00%. 毎日新聞. 2016-09-10, 朝刊[佐賀], p. 25.
(21)18歳選挙権 未来を拓く:第3章 主権者の意識④神奈川県. 静岡新聞. 2016-05-04, 朝刊, p. 1.
(22)英・ブレア政権のシティズンシップに関する諮問委員会委員長バーナード(Crick Bernard)によると、シティズンシップ教育とは市民性、すなわち市民として必要な素養を育てるものとされている。
クリック・バーナード. シティズンシップ教育論:政治哲学と市民. 法政大学出版局. 2011, 317p., (サピエンティア, 20).
(23)“図書委員が「主権者教育についてのワークショップ」を企画実施しました”. 島根県立矢上高等学校. 2016-04-24.
http://www.yakami.ed.jp/788.html, (参照 2018-07-13).
(24)同校では「課題を多面的・多角的に捉え、自らの意見を形成し、根拠をもって自らの考えを主張・説得し、また合意形成を図る力を育む」ことが主権者教育のあるべき姿としている。
宮崎三喜男, 宅間由美子. 特集, 主権者教育と学校図書館:都立国際高校の図書館と「主権者教育」. 学図研ニュース. 2018, (387), p. 5-6.
(25)図書局とは、生徒会外局のひとつである。希望する生徒によって構成されていて図書館の広報、展示、図書館行事等が主な活動である。構成人数は例年20人弱で、他校図書局・委員会との交流もある。北海道は道の高等学校文化連盟のなかに1979年図書専門部が設立され、生徒の主体的な図書館活動を支援している。年1回の全道大会と道内11支部での大会が活発に行われている。
北海道高等学校文化連盟図書専門部.
http://www.sapporominami.hokkaido-c.ed.jp/library/newpage.html, (参照 2018-07-13).
(26)「ライブ・イン・ライブラリー」とは図書館で行われている生徒によるトークライブのことである。
成田康子. 図書館レポート 「ライブ・イン・ライブラリー」―考える、話す、伝え合う。また考える. 人文会ニュース. 2016, (125), p. 19-31.
http://jinbunkai.com/wp-content/uploads/2016/12/125_web.pdf, (参照 2018-07-13).
(27)当日の様子は以下を参照のこと。
成田康子. ブック・ストリート 学校図書館 18歳選挙権、生徒の関心. 出版ニュース. 2015, (2387), p. 18.
成田康子. 高校図書館から―『わが闘争』、そして. みすず. 2016, (650), p. 6-14.
また、政治教育において教員の中立性が問題とされるが、林大介によれば、ともすると「中立性」ということは、どちらの考えも扱わないとなるが、それでは高校生自身が考える機会を奪ってしまうことになろう。教員の意見を押し付けることなく、生徒に先入観なく考えられる機会を設けることが重要、という。
林大介. 「18歳選挙権」で社会はどう変わるか. 集英社, 2016, 206p., (集英社新書, 0838).
高校 主権者教育を充実. 読売新聞. 2018-01-31, 朝刊, p. 1.
(28)成田康子. みんなでつくろう学校図書館. 岩波書店, 2011, 214p., (岩波ジュニア新書, 703).
(29)成田康子. 高校図書館 生徒がつくる、司書がはぐくむ. みすず書房, 2013, 252p.
(30)成田康子. 高校図書館デイズ 生徒と司書の本をめぐる語らい. 筑摩書房, 2017, 213p., (ちくまプリマー新書, 280).
札南高「図書館ライブ」50回 興味ある話題 生徒が発表、意見交換. 北海道新聞. 2018-05-23, 朝刊, p. 15.
発表者のなかの二人が筆者に伝えた言葉で「大人ではなく、高校生に聞いてもらいたい」「大人にわかってもらおうと言うより、高校生にわかってもらいたいという気持ち」が印象的であった。
(31)図書局員作成の図書館広報紙。1か月から2か月に一回の発行で現在61号になる。図書館の存在を全校に知らせ、みんなに読んでもらえるものをつくりたい、という局員の願いから2010年8月に創刊した。図書館行事の報告、新刊紹介、コラムなどで情報発信をする。なかでも、「書架の隙間から」の連載は、新聞書評を読んでの本紹介で、新聞・本を「批判的」に読むことを意識している。
(32)2018年度の学校祭は「書架人、かたる」(“あなたにぴったりの一冊が見つかる図書館”から“知らなかった自分を見つける図書館”へ)と題して、図書局員らが自分の興味・関心をもとにテーマを設定し探究。アドバイザーに関連教科の教師や卒業生を得、パネルやライブ、冊子で発表する。
(33)「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、総則において「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り」「生徒の自主的、自発的な学習活動や読書活動を充実すること」(p. 18)として、新教科「公共」が必修とされる。
高等学校学習指導要領. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/11/1384661_6_1_2.pdf, (参照 2018-08-03).
成田康子. 主権者教育と高校図書館. カレントアウェアネス. 2018, (337), CA1933, p. 5-8.
http://current.ndl.go.jp/ca1933
DOI:
https://doi.org/10.11501/11161996
Narita Yasuko
Citizenship Education and School Libraries in Japan