CA1309 – ロシア語を話す司書達の初のディスカッションリスト−RAL- / 松下さや子

カレントアウェアネス
No.247 2000.03.20


CA1309

ロシア語を話す司書達の初のディスカッションリスト―RAL―

「働いている場所は,アメリカでも,ロシアでも,それ以外のどこでも,情報や疑問やアイデアを分け合いませんか? 共通語はロシア語です。参加したい方はメールをください。」こんな呼びかけが1999年11月,国際図書館連盟(IFLA)のメーリングリストIFLA-Lに流れた。発信者は,米国インディアナ州共同図書館サービス局(INCOLSA)のノーラ。同局の本務は州の住民に対する図書館サービスだが,世界中の図書館関係者を対象にしたメーリングリストの主宰も積極的に行っている。

興味をひかれて名前を登録してみた。

世界各国で働いているロシア語司書と日本語司書はある意味では似た立場にある。日本語司書の仕事の場も世界各地に散らばり,日本出身者も多く,共通語は日本語である。日本語も非ラテン文字を使う。

発足後約1ヶ月経過したRALの登録メンバーは約60名。自己紹介を見ると多くはスラブ系の人達で,勤務地はロシア,旧ソ連圏,アメリカ,ヨーロッパ,イスラエルと各地に広がっている。ロシア国内の大図書館の職員の名前も見える。

原則としてロシア語が使われているが英語でも構わない。インターネットを使ってロシア語でコミュニケーションを取る時に問題となるのはキリル文字の扱いだが,RALはまずラテン文字に翻字したロシア語を使うことでスタートした。今後キリル文字に移行するかどうかは目下討議中である。現在メンバーが使っているメールソフトの多くはキリル文字が使えるが,それぞれ仕組みが違うため異なるメールソフトでやりとりすると文字化けしてしまう(ちなみに日本語に関しては,マイクロソフト社の無料のメールソフトOutlookがCJKをサポートしている)。

早速,インターネットにこんな便利なロシア情報サイトがありますよ,とか今度こんなロシア関係の会議が開催されるので参加してください,といった情報が紹介され始めた。求職していますという投稿も見える。最も便利なのが質疑応答で,仕事上でちょっとわからないことがあって困った時に,同業者に気軽に質問するとあちこちから即座に答えが返ってくる。キリル文字をどの方式でラテン文字に翻字するのが良いのでしょうか? ノンフィクションに対応するロシア語は? キリル文字を使えるメールソフトは? などという質問にさまざまな回答が寄せられて,やりとりの中から段々意見が集約されていく。ロシア国内の人の意見はやはり尊重されるようだ。

日本語司書にもこんな場があればという印象を受けた。

RALに登録するには,majordomo@incolsa.netに”subscribe ral(改行)end”というメッセージを送る。

松下 さや子(まつしたさやこ)