カレントアウェアネス
No.190 1995.06.20
CA1010
NDIS−オーストラリア・ニュージーランドの次世代図書館ネットワーク−
オーストラリア国立図書館(NLA)が運営する国内最大のオンライン書誌情報ネットワークであるABN(Australian Bibliographic Network)が,新しいシステムに置き換えられる。このシステムはニュージーランド国立図書館との共同事業として開発中で,ABNだけでなく,NLAの検索サービスであるOzline,および,ニュージーランド国立図書館が提供するオンライン書誌情報ネットワーク(NZBN)と検索サービス(Kiwinet)の全てに代るものとなる。
新しいシステムはNDIS(National Document Information Service)と呼ばれ,1996年半ば以降サービスを開始する予定である。ここでは,ABNとの比較を中心に,NDISの概要を紹介したい。
現在のABNのシステムは1970年代に開発されたため,種々の点で時代の要請に応じられなくなっている。特にABNは,shared catalogingを目的として図書館員のために作られたシステムであるため,利用者にとっては必ずしも使いやすいものではなく,検索機能に難点があった。そのためNDISは,単に図書館間のネットワークというのではなく,利用者も直接検索できるような,よりユーザーフレンドリーなシステムを目指している。
また,文献の検索と入手が同時にできるようになることも目標の一つである。NLAでは,雑誌記事の索引作業と同時に該当記事の全文を入力することも計画しており,原報提供サービスを含むUncoverなどの次世代のネットワークと同様の発想に立つものと言えよう。また,NDISは図書館員にとっても,ABN以上に柔軟なデータのインプット・アウトプットを可能にすることを約束している。
NDISは,Unixをベースとしたオープン・システムで,将来的なハードウェアの更新にも対応できるよう設計されている。また,NDISを介して,インターネットに接続することも可能である。NDISは,完成の暁にはより親しみやすい名前に変わるということだが,現在約1,350というABNの参加館のサービスにどのような可能性を広げられるか,期待される。
中島 薫(なかじまかおる)
Ref: Layland, Penelope. Links across the Tasman: the NDIS library network. National Library of Australia News 5 (1) 3-5, 1994
National Library of Australia Gateways (2) 6; (6) l, 1993; (11) 1-3; (12) 2-4, 1994; (13) 1-3; (14) 4-6, 14, 1995