3. 先行調査レビュー

 本章では,最近約20年(1987年~2007年)の間に日本国内で実施された子どもの情報メディア利用に関する調査をレビューする。レビュー対象の調査は,文部科学省スポーツ・青少年局が1989年から毎年作成している『青少年問題調査年報』(文部科学省 1989-2007)を利用し,「情報」,「メディア」,「コンピュータ」,「インターネット」,「携帯電話」,「ウェブサイト」,「パソコン」,「ゲーム」,「テレビ(TV)」,「メディアリテラシー」,「読書」,「本」「雑誌」,「マンガ」,「音楽」,「映画」,「CD」,「DVD」という語が調査の主題に含まれているものとした。なお『青少年問題調査年報』は,当該年に実施された「青少年問題全般における最も新しい調査の概要を集約し,一般の利用に供することを目的」に作成されている資料である。

 なお,以下では,計71件の調査を年代ごとに分け,メディアの種類別,対象年齢別に整理する。以下でレビューした調査以外に,1954年から現在(2007年度)まで,毎年継続して全国の小学生から高校生までを対象として,「学校読書調査」が実施されている。この調査では,毎年の読書量や内容が報告されており,経年比較が可能になっている。また,年によって他のメディアの利用状況が報告されている。

3.1. 1987~1989年に実施された調査

 1987年~1989年に実施された調査には,次の8件([1]~[8])がある。これらの調査を対象メディア別に整理すると,マスメディアへの接触,また,個別のメディア利用では,テレビテレビゲームやコンピュータゲーム,パソコン,マンガ,有害情報や暴力性の高いテレビ番組の視聴に分けることができる。(注:調査の出典の番号は,年代順。)

・マスメディアへの接触 [1]
・テレビ [7]
  暴力性の高いテレビ番組の視聴  [6]
・テレビゲームやコンピュータゲーム [2][3][8]
・パソコン [3]
・マンガ [4][7]
・有害情報 [5]

 また,年齢別に整理すると,小学生,中学生,高校生,保護者や家族を対象とした調査に分けることができる。

・小学生 [1][2][3][4][5][6][7]
・中学生 [1][2][3][4][5][7][8]
・高校生 [2][3][4][5][8]
・保護者や家族  [1][5][7]

[1] 神奈川県立教育センター学校課題プロジェクトによる「児童・生徒をとりまく情報環境に関する調査研究」(1987) 
 小学生,中学生,保護者483名を対象として,マスメディアとの接触度,接し方,生活への役立て方などを尋ねた調査。

[2] 東京都生活文化局による「大都市青少年のニューメディアとのかかわりに関する調査(テレビゲームを中心に)」(1987) 
 小学校4・6年生,中学校2年生,高校2年生5,684名を対象として,テレビゲームやメカなどについて尋ねた調査。

[3] 神奈川県立教育センター教育機器利用研究会による「コンピュータ利用における児童・生徒の意識と情意・健康面の内容」(1987) 
 小学生,中学生,高校生1,027名を対象として,パソコンやコンピュータゲームの利用状況や,コンピュータゲームによる影響について尋ねた調査。

[4] 浜松医科大学精神科神経科による「マンガに見る性の世界―大人の視点と子どもの視点の比較を中心に―」(1987) 
 小学生,中学生,高校生287名を対象として,好きなマンガ,どういうところがすきか,どういうところをいやらしいと思うかについて尋ねた調査。

[5] 愛知県青少年問題協議会 愛知県総務部青少年婦人室による「青少年に関する意識調査―高齢化・情報化・国際化社会と青少年の関わり―」(1988) 
 小学生,中学生,高校生とその家族10,085名を対象として,一般情報や青少年活動に関する情報の入手方法,有害情報の接触状況とその影響,青少年が望んでいる情報と青少年に提供すべき情報,情報化社会に対するイメージなどについて尋ねた調査。

[6] 国立精神・神経センター精神保健研究所による「暴力性の高いTV番組視聴が子どもと家族に及ぼす影響の5年後追跡調査」(1989) 
 小学校4・5年生124名(5年前に年中,年長の児童)を対象として,暴力性の高いTV番組視聴頻度,TV視聴時間の長さ,健康状態,精神的健康度,暴力行動,対処行動,支援ネットワークなどについて尋ねた調査。

[7] 東京都生活文化局婦人青少年部企画係による「東京都子ども基本調査『大都市における児童・生徒の生活・価値観に関する調査』」(1989) 
 小学生,中学生およびその保護者2,096名を対象として,テレビ,マンガ,規範意識,友人関係,親子関係など(小学生,中学生調査),子どもへの関心,しつけ,学習塾,子どもとの会話など(保護者調査)について尋ねた調査。

[8] 総務省青少年対策本部調査係による「青少年の友人関係に関する国際比較調査」(1989~1990) 
 アメリカ,西ドイツ,日本の中学生,高校生2,912名(日本:1,674名)を対象として,友人関係,テレビゲームの接触状況などについて尋ねた調査。

3.2. 1990年代に実施された調査

 1990年代に実施された調査には,次の25件([9]~[33])がある。これらの調査を,対象メディア別に整理すると,メディア所有・利用,情報機器・情報通信機器,電子メディア,雑誌,新聞,本を読む時間や内容,テレビ,ラジオ,ビデオ,テレビゲーム,マンガ,パソコン・インターネット,CD,電話・ポケットベル,携帯電話に分けることができる。また,青少年が取り入れる情報の量・内容と,それらが問題行動などに及ぼす影響([19]),有害メディア接触への許容意識([20]),インターネット利用に対する意識([29])について検討した調査も見られる。

・メディア所有・利用 [15][18][25][26]
・情報機器・情報通信機器  [29][30]
  情報接触 [16]
・電子メディア [28]
・雑誌,新聞,本を読む時間 [9]
  内容 [10][12]
・テレビ [13][17][20][21][22][24][31][32]
  視聴するテレビ番組の内容  [10]
  視聴態度 [11]
  見せたい番組・見せたくない番組  [24]
  テレビの影響 [32]
  Vチップ [32]
・ラジオ [20]
・ビデオ [14][20][26]
・テレビゲーム [22][26][28][31]
・マンガ [11][16][22]
・パソコン・インターネット [18][28][29][30]
  ポルノ・残虐画像 [30]
  フィルタリングソフト [30]
・CD [26]
・電話・ポケットベル [23][26][27]
  テレクラなど [23][27]
・携帯電話 [33]

 年齢別に整理すると,小学生,中学生,高校生,短大・大学生,大学生以上,保護者を対象とした調査に分けることができる。この他には,学校([29][30]),レンタルビデオ店([14])を対象とした調査もある。

・小学生 [13][14][15][17][18][21][22][26][28][29][31][32]
・中学生 [10][12][14][15][16][18][19][20][23][25][26][27][29][31][32]
・高校生 [9][11][14][15][16][18][19][20][23][25][26][27][30][32][33]
・短大・大学生  [14][15][25][30]
・大学生以上 [15][25]
・保護者 [14][18][20][21][23][24][26][29][30][31][32][33]

[9]財団法人日本青少年研究所事務局による「高校生の読書調査―日米比較―」(1990) 
 
アメリカと日本の高校生計2,086名(日本:1,093名)を対象として,雑誌,新聞,本等の時間,読書量,本・マンガの好き嫌い,好きな作家,感動した本,面白かった本などについて尋ねた調査。

[10]福武書店教育研究所モノグラフ担当による「情報化社会と教育研究所」(1990) 
 
中学生2,713名を対象として,見るテレビ,新聞,雑誌の内容について尋ねた調査。

[11]東京大学教育学部教育社会学研究室による「高校生の生活と意識に関する調査」(1990~1991) 
 高校生1,215名を対象として,テレビの視聴態度,マンガ,1日の行動パターン,友人関係,性役割観,自己意識などについて尋ねた調査。

[12]福武書店教育研究所モノグラフ担当による「中学生にとっての読書」(1991) 
 中学生1,425名を対象として,読書が好きか,読んでいる雑誌の種類について尋ねた調査。

[13]千葉県総合教育センター教科領域部による「子どもの生活実態を採る調査研究」(1991) 
 
小学校高学年2,807名を対象として,テレビ,塾,習い事,1日の時間の過ごし方について尋ねた調査。

[14]東京都生活文化局婦人青少年部企画課による「ビデオソフトの青少年に与える影響に関する調査」(1991) 
 小学生,中学生,高等生とその保護者(1,748名),短大・大学生(318名),レンタルビデオショップ(64店舗)を対象として,ビデオ利用状況,性格,生活態度,問題行動,性的行動,ホラー,アダルトビデオの利用状況と影響,保護者のビデオに対する意識などについて尋ねた調査。

[15]総務省青少年対策本部調査係による「第2回情報化社会と青少年に関する調査」(1991) 
 10~29歳4,575名を対象として,青少年のメディアとの接触状況について尋ねた調査。

[16](財)日本性教育協会による「青少年とマンガ・コミックスに関する調査」(1991) 
 中学生,高校生計1,800名を対象として,情報接触,マンガ,性情報メディアと性意識・性行動,性のイメージと性情報,友人関係と家庭イメージ,青少年文化的意識とメディア,非行少年とメディアについて尋ねた調査。

[17]福武書店教育研究所による「モノグラフ・小学生ナウ テレビ」(1991) 
 小学校高学年1,699名を対象として,テレビ視聴時間,テレビのマルチメディア利用,メカ所有,テレビに関する気持ち,テレビを見るきまりについて尋ねた調査。

[18]東京都生活文化局女性青少年部青少年課による「青少年をとりまくメディアに関する調査」(1992~1993) 
 小学校高学年,中学生,高校生とその保護者計3,584名を対象として,メディア機器の保有状況,パソコン利用やパソコンに対するイメージなどについて尋ねた調査。

[19]総務省青少年対策本部調査係による「情報化社会における非行少年の意識に関する研究調査」(1993) 
 一般少年(中学生,高校生)1,390名,非行少年1,175名を対象として,情報の取り入れを制御する要因,取り入れる情報の量・内容,青少年の意識・態度,行動について尋ね,情報化社会が青少年の意識・行動,非行等の問題行動にどのように関係しているのかを検討した調査。

[20]総務省青少年対策本部非行対策係による「青少年とアダルトビデオ等の映像メディアに関する調査研究」(1993) 
 中学生・高校生1,914名と保護者1,914名を対象として,適応性,テレビ,ラジオ,アダルトビデオ,ホラービデオへの接触,残酷・エッチなビデオへの接触,異性との交流,性役割に対する意識,有害メディア接触への許容意識(青少年調査),有害性が懸念される映像メディアへの子供の接触に関する配慮と認知など(保護者調査)について尋ねた調査。

[21]愛知教育大学養護教育教室による「生活リズムにおけるテレビ視聴と疲労」(1993) 
 
小学校5年生とその保護者349名を対象として,生活時間,疲労感,親の子どものテレビ視聴への認識,子どものテレビ視聴に関する自己評価,親の子どものテレビ視聴との関連などについて尋ねた調査。

[22]NHK放送文化研究所世論調査部による「第3回NHK『小学生の生活と文化』」(1994) 
 
小学校高学年1,043名を対象として,テレビ,マンガ,テレビゲーム,アニメ,学校生活,親子関係などについて尋ねた調査。

[23]総務庁青少年対策本部非行対策係による「青少年と電話などに関する調査研究」(1995) 
 中学生・高校生2,348名とその保護者2,348名を対象として,電話,ポケットベル,電話,テレクラやツーショットダイヤルの認知,利用実態,倫理観などについて尋ねた調査。

[24](社)日本PTA全国協議会による「子を持つ親がテレビに期待すること」(1995) 
 
全国の小・中学生の子どもをもつPTA会員1,200名を対象として,テレビの視聴状況,テレビ番組嗜好,見せたい番組,見せたくない番組,しつけなどについて尋ねた。

[25]総務庁青少年対策本部調査係による「情報化社会と青少年に関する調査」(第3回)(1996) 
 青少年(12~29歳)3,803名,調査対象の青少年のうち12~17歳までの父母1,642名を対象として,青少年のメディアとの接触状況(青少年調査),親のメディアとの接触状況(保護者調査)などについて尋ねた調査。

[26]青森県環境生活部青少年課による「青少年の意識に関する調査(青少年のメディア所有・使用状況とメディア観)」(1996) 
 県内の小学生(349名),中学生(340名),高校生(293名)とその保護者(982名)を対象として,メディア所有,メディアの使い方,テレビゲーム,CD,電話,ホラービデオの視聴(青少年調査),メディアの使い方,メディアの使用経験,テレビゲーム,CD,電話,ホラービデオ等の影響(保護者調査)などについて尋ねた調査。

[27]山梨県教育委員会学校教育課による「中・高校生の電話などに関する調査」(1996) 
 
中学生,高校生計7,928名を対象として,電話,ポケットベル,テレホンクラブやツーショットダイヤルへの接触状況や倫理観について尋ねた調査。

[28](株)ベネッセコーポレーション「子どもとメディア」(1997) 
 小学校5・6年生2,514名を対象として,電子メディア体験,テレビゲーム,パソコン,メディアと友だちづきあいなどについて尋ねた調査。

[29]総務庁青少年対策本部企画調整係による「青少年の情報通信を活用したコミュニケーションに関する調査」(1997) 
 小学生・中学生(2,287名)とその保護者(2,246名),学校(31校)を対象として,情報通信機器の所有・使用状況,インターネットの利用に対する意識(小・中学生に対する調査),情報通信機器の使用状況,子どもが利用することに対する意識(保護者),パソコン等の設置状況など(学校)について尋ねた調査。

[30]総務庁青少年対策本部非行対策係による「青少年とパソコンに関する調査」(1997) 
 
高校生・大学生(2,008名),高校生の保護者(1,521名),高等学校(1,078校)を対象として,情報機器所有(青少年調査),パソコン,インターネットの関わり,ポルノ画像や残虐画像への接触状況など(青少年調査,保護者調査),パソコン設置・利用状況,インターネットの利用状況,フィルタリングソフト,インターネット上のポルノ画像や残虐画像に対する意見などについて尋ねた調査。

[31]総務庁青少年対策本部非行対策係による「青少年とテレビ等映像メディアに関する調査」(1998) 
 小学生・中学生(3,243名)とその保護者(3,131名)を対象として,学校・家庭生活(青少年調査),テレビ視聴,テレビゲーム(青少年調査,保護者調査),規制・対策(保護者調査)について尋ねた調査。

[32]社団法人日本民間放送連盟による「テレビと児童・青少年に関する調査」(1998) 
 
首都圏の小学生とその母親(145組),中学生とその母親(148組),高校生(145名),小学1~2年生の子どもをもつ母親(144名)を対象として,テレビとの接触状況,テレビの影響(子ども,母親),テレビ視聴への親の関心・管理,格付け・Vチップへの反応(母親のみ)などについて尋ねた調査。

[33]総務庁青少年対策本部非行対策係による「青少年と携帯電話に関する調査」(1999) 
 
高校生(3,113名),保護者(2,881名)を対象として,携帯電話の利用などについて尋ねた調査。

3.3. 2000年代以降に実施された調査

 2000年代に実施された調査には,次の38件([34]~[71])がある。これらの調査を,対象メディア別に整理すると,メディア所有・利用,読書,新聞,マンガ,テレビ,テレビゲーム,パソコン・インターネット,携帯電話・PHSに分けることができる。

 また,メディアからの情報([52]),テレビ番組のモニタリング調査([51]),テレビ・ゲーム・パソコンのルール([58]),情報リテラシーの状況と課題([62])について検討した調査も見られる。

・メディア所有・利用 [38][41][43][52][54][55][61][64][68][69][70][71]
  メディアへの関心 [41]
  子どもへの影響 [41]
・読書 [34][66]
・新聞 [37]
・マンガ [62]
・テレビ [36][37][42][43][46][47][48][49][53][54][55][57] [60][62][65][66]
  「子どもに見せたくない」テレビ視聴の実態  [45]
・テレビゲーム [36][43][46][48][54][62][66]
・パソコン・インターネット [36][38][42][50][52][53][62][63][65][67][71]
  フィルタリング・サービスの認知 [71]
・携帯電話・PHS [35][36][37][38][39][40][42][44][45][50][52][56] [59][62][63][65][71]
  出会い系サイト・テレクラ [39][53]
  マナー・指導 [40]
・有害情報 [38]

 年齢別に整理すると,小学生,中学生,高校生,短大・大学生,大学生以上,保護者を対象とした調査に分けることができる。この他には,学校([40]),教員([59]),校長([63])を対象とした調査もある。

・小学生 [34][35][40][41][42][43][45][46][47][48][49][52][53] [54][57][60][62][64][65][66][68][71]
・中学生 [34][35][36][38][39][40][41][42][43][44][45][49][50] [52][53][54][55][57][59][62][64][65][66][69][71]
・高校生 [34][36][37][38][39][40][41][44][50][55][56][59][64] [65][67][70][71](15歳以上[52])
・短大・大学生  [38][71]
・大学生以上 [38][71]
・保護者 [35][36][38][41][42][43][45][51][52][53][54][56][57] [58][59][60][61][62][65][71]

[34]公文教育研究会くもん子ども研究所による「読書について」の調査(2000) 
 小学校高学年から高校生まで計669名を対象として,読書が好きか,父親・母親の読書状況などを尋ねた調査。

[35](株)ライフデザイン研究所による「子どもの携帯電話利用に関する調査」(2000) 
 
10~14歳の子どもとその母親(482組),8~9歳の子どもの母親(136名)を対象として,携帯電話の利用状況(子ども,保護者),携帯電話に対する意識(子ども),家庭における電話利用のルール,子どもの携帯電話利用に対する懸念(母親)などについて尋ねた調査。

[36]社団法人日本PTA全国協議会による「家庭におけるテレビメディア・社会環境についての意識調査」(2000) 
 保護者4,070名,中学生・高校生4,347名を対象として,テレビ,パソコン,ゲーム機,携帯・PHSなどの利用や,メディア利用への意識などについて尋ねた調査。

[37]ベネッセ教育研究所による「高校生とメディア」調査(2001) 
 高校生1,929名を対象として,携帯電話・PHS,音楽,ことば,新聞・テレビのニュースについて尋ねた調査。

[38]内閣府政策統括官青少年調査担当による「情報化社会と青少年に関する調査」(第4回)(2001) 
 青少年(12~29歳)3,486名,調査対象の青少年のうち12~17歳までの父母1,111名を対象として,メディアとの接触状況,携帯電話(PHS)・インターネットの利用実態および意識(青少年調査,保護者調査),有害情報への関心(保護者調査)などについて尋ねた調査。

[39]秋田県教育庁義務教育課による「中高生に対する携帯電話等に関するアンケート」(2001) 
 中学生,高校生計1,168名を対象として,携帯電話,出会い系サイト,テレクラについて尋ねた調査。

[40]千葉県教育庁学校指導部指導課による「携帯電話等に関する調査」(2002) 
 千葉県内の小学生,中学生,高校生計18,995名と学校を対象として,携帯電話,携帯電話所持による生活の変化,マナーに関する意識等(児童生徒に対する調査),指導の状況,保護者等に対する協力依頼状況等(学校に対する調査)を尋ねた調査。

[41]東京都生活文化局都民協働部青少年課による「青少年をとりまくメディア環境調査」(2001) 
 東京都内の小学生,中学生,高校生およびその保護者計4,495名を対象として,各種メディアの利用(テレビ,ゲーム,パソコン,携帯,インターネット,携帯を通じた出会い,特殊な情報へのアクセス,メディアへの関心)など(児童・生徒への調査),各種メディアの利用,子どもへの影響など(保護者への調査)について尋ねた調査。

[42]社団法人日本PTA全国協議会による「家庭におけるテレビメディア 青少年とインターネットなどに関する意識調査」(2001) 
 小学生,中学生とその保護者計10,590名を対象として,テレビ,パソコン,インターネット,携帯・PHSの利用などについて尋ねた調査。

[43]放送と青少年に関する委員会による「青少年へのテレビメディアの影響調査」(第1回)(2001) 
 小学生とその保護者(1,006名),中学生とその保護者(216名)を対象として,子ども専用の機器所有,テレビ視聴時間,テレビ観,テレビゲーム観・使用状況,生活習慣,社会観・規範意識などについて尋ねた調査。4年間の追跡調査を実施。

[44]警察庁安全局少年課企画係による「青少年の意識・行動と携帯電話に関する調査」(2002) 
 中学生,高校生,また,調査期間内に各都道府県警察の少年部門で取り扱った触法少年,検挙された犯罪少年(中学生,高校生)のうち,同意が得られた者(計4,384名)を対象として,携帯電話利用状況,放課後の生活状況,暴力欲求などについて尋ねた調査。

[45](社)日本PTA全国協議会による「家庭教育におけるテレビメディア 青少年とインターネット等に関する意識調査」(2002) 
 小学生,中学生,その保護者計10,042名を対象として,テレビ視聴,パソコン,インターネット,携帯・PHS,「子どもに見せたくない」テレビ番組のテレビ視聴の実態などについて尋ねた調査。1995年(平成7年)より継続して実施。

[46]お茶の水女子大学大学院人間文化研究科による「テレビ・テレビゲームの暴力が児童の攻撃性に及ぼす影響」(2002) 
 小学生679名を対象として,テレビ視聴時間・視聴シーン,テレビゲームで遊ぶ時間・接触シーン,攻撃性,共感性,暴力抑制規範などについて尋ねた調査。

[47]お茶の水女子大学大学院人間文化研究科による「テレビ番組が子どもの認知能力と情報活動の実践力に与える影響」(2002) 
 小学校5年生172名を対象として,テレビ接触量,認知能力,情報活用の実践力について尋ねた調査。NHKなどによる「子どもによい放送プロジェクト」の一環として行われた調査。

[48]お茶の水女子大学大学院人間文化研究科による「テレビ・テレビゲームの暴力の保護者への教育的介入効果」(2003) 
 小学校6年生523名を対象として,テレビ・テレビゲームの時間制限・内容制限・共視聴,テレビ・テレビゲームへの態度などについて尋ねた調査。

[49]お茶の水女子大学大学院人間文化研究科による「テレビ番組が子どもの認知能力と情報活用の実践力に与える影響」(2003) 
 小学生,中学生計294名を対象として,テレビ接触量,認知能力(小学生のみ),情報活用の実践力について尋ねた調査。NHKなどによる「子どもによい放送プロジェクト」の一環として行われた調査。

[50]神奈川県教育庁教育部高等教育課による「携帯電話・PHS及びアルバイトに関する調査」(2003) 
 中学生(携帯電話についての調査3,688名),高校生(携帯電話についての調査17,145名,アルバイトについての調査15,849名)を対象として,携帯所有,利用内容,利用頻度,自分の変化(中学生,高校生の携帯電話についての調査),パソコンの利用目的(高校生の携帯電話についての調査)などについて尋ねた調査。

[51](社)日本PTA全国協議会による「テレビ番組のモニタリング調査」(2003) 
 全国の小学生,中学生の保護者9,754名を対象として,意識調査の結果に基づく6番組のモニタリング調査を実施。

[52]大阪府生活文化部子ども青少年課による「青少年メディア環境調査」(2003) 
 大阪府在住の小学生,中学生,15歳以上の青少年,その保護者を対象として,メディアの利用,携帯電話・PHS,パソコン,メディアからの情報,生活などについて尋ねた調査。

[53](社)日本PTA全国協議会マスメディア調査委員会による「青少年とインターネット等に関する意識調査」(2003) 
 小学生,中学生,その保護者計10,097名を対象として,1日のテレビ視聴時間,よく見るテレビ番組のジャンル,保護者のテレビ視聴への関与,パソコン,インターネット,電子メールの利用状況,出会い系サイト・アダルトサイトの認知と利用などについて尋ねた調査。

[54]放送と青少年に関する委員会「青少年へのテレビメディアの影響調査」(第4回)(2004) 
 小学生(301名),中学生(778名),その保護者を対象として,子ども専用の機器所有,テレビ視聴時間,テレビ観,テレビゲーム観・使用状況,生活習慣,社会観・規範意識などについて尋ねた調査。

[55]お茶の水女子大学子ども発達教育研究センターによる「変容する電子メディア環境における青少年の人間形成長の諸問題と,その支援に関する社会臨床論的研究」(2004) 
 中学生,高校生1,623名を対象として,メディアの使用時間,パーソナリティ,対人関係等に関する項目について尋ねた調査。

[56]鹿児島大学教育学部家庭科教育研究室による「情報化社会における家族のコミュニケーションのあり方について」(2004) 
 高校生とその保護者計1,111名を対象として,携帯の保有状況,使用状況,家族のコミュニケーションのあり方の変化,携帯電話に関する教育のニーズについて尋ねた調査。

[57]社団法人日本PTA全国協議会による「子どもの心に影響を与える有害情報問題の取り組み」(2004) 
 小学生(2,469名),中学生(2,567名),PTA会員(4,790名)を対象として,テレビ,インターネットの利用状況,子どもの教育のための社会環境について尋ねた調査。

[58]島根県地域家庭教育推進協議会生涯学習課による「家庭における親の子どもへの関わり方と意識に関する調査」(2005) 
 島根県の幼児,小学生,中学生の保護者(2,173名)を対象として,生活,テレビ・ゲーム・パソコンのルール,自主性,積極性,忍耐力などについて尋ねた調査。

[59]国立大学法人群馬大学による「青少年を対象とした携帯・インターネット・リテラシーの研究」(2005) 
 中学生,高校生,PTA,教員を対象として,携帯電話利用実態調査(中・高校生調査),指導能力など(保護者,教員向け調査)を尋ねた調査。

[60]武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科による「子どもの生活習慣と意識」(2005) 
 西宮市の小学生(24,849名)とその保護者(19,175名)を対象として,テレビの視聴時間と自尊感情などについて尋ねた調査。

[61]ベネッセ教育研究開発センター教育調査室による「幼児の生活アンケート 東アジア5都市調査」(2005) 
 東京・ソウル・北京・上海・台北で行われた,幼児の生活の様子,保護者の子育てに関する意識と実態(メディアとのかかわりを含む)に関する調査。

[62]社団法人日本PTA全国協議会による「子どもの心に影響を与える有害情報問題の取り組み」(2005) 
 小学生(2,014名),中学生(1,933名),その保護者(3,682名)を対象として,テレビ,携帯,インターネットの利用状況,ゲーム・マンガの接触状況,情報リテラシーの状況と課題について尋ねた調査。

[63]全国連合小学校校長会事務局による「『少年非行』に関する問題と未然防止のための方策」(2005) 
 各都道府県の校長10名ずつ(計463名)を対象として,少年非行の内容と件数,携帯電話所有率,パソコン使用率,インターネット等の掲示板・チャットの利用,問題事例などについて尋ねた調査。

[64]青森県青少年・男女共同参画課による「青少年の意識に関する調査」(2006) 
 青森県内の小学生,中学生,高校生計1,494名を対象として,家族,学校,友だち,メディア・コミュニケーションなどについて尋ねた調査。

[65]岡山県青少年課による「青少年の意識等に関する調査」(2006) 
 岡山県内の小学生,中学生,高校生計2,267名とその保護者2,311名を対象として,生活実態(テレビ,携帯,インターネット等),勉強,学校,悩みなど(青少年調査),子どもとの接触状況,子育て,しつけなど(保護者調査)について尋ねた調査。

[66]神戸市教育委員会による「児童生徒の学習に対する意識・生活実態調査」(2006) 
 神戸市内の小学生,中学生計2,517名を対象として,学習時間,睡眠時間,テレビやテレビゲームの時間,読書,ボランティア体験などについて尋ねた調査。

[67](財)日本青少年研究所による「高校生の意欲に関する調査―日・米・中・韓4ヶ国比較―」(2006) 
 高校生(対象人数不明)を対象として,進路と希望,生活意識と人生目標,インターネットの利用などを尋ねた調査。

[68]Benesse教育研究開発センターによる「第4回学習基本調査(小学生版)」(2006) 
 小学生2,726名を対象として,好きな教科,学習の方法,学習上の悩み,社会観・価値観,メディアの利用などについて尋ねた調査。

[69]Benesse教育研究開発センターによる「第4回学習基本調査(中学生版)」(2006) 
 中学生2,371名を対象として,好きな教科,学習の方法,学習上の悩み,社会観・価値観,メディアの利用などについて尋ねた調査。

[70]Benesse教育研究開発センターによる「第4回学習基本調査(高校生版)」(2006) 
 高校生4,464名を対象として,好きな教科,学習の方法,学習上の悩み,社会観・価値観,メディアの利用などについて尋ねた調査。

[71]内閣府政策統括官(共生社会政策担当)による「第5回情報化社会と青少年に関する意識調査」(2007) 
 青少年(10~29歳)2,468名,調査対象の青少年のうち10~17歳までの保護者1,145名を対象として,メディアの利用状況,携帯電話(PHS),パソコン,インターネットの利用状況(青少年調査),子どもの携帯電話(PHS),インターネットの利用状況,フィルタリング・サービスの認知,利用など(青少年調査,保護者調査)について尋ねた調査。

3.4. おわりに

 本章では,最近約20年(1987年~2007年)の文献を年代別に分け,メディアの種類別,対象年齢別に整理した結果,いくつかの年代を通じての特徴,年代ごとの特徴が示唆された。

 年代を通じての特徴としては,次の2点があげられる。まず,第1には,読書(「学校読書調査」を含む),テレビ,テレビゲーム,パソコン,マンガへの接触についての項目が共通して見られること,第2には,1980年代から継続して,数は多くなかったものの,有害情報への接触,有害情報への意識,テレビ番組のモニタリングなど,子どもたちにネガティブな影響を及ぼしうる情報についての調査が見られることである。

 年代ごとの特徴としては,年代が進むと,パソコン・インターネットや,携帯・PHSの利用についての調査が多くなっていた。

 調査対象の年齢の特徴としては,小学生から高校生までが多かったことに加えて,保護者を対象とした調査も多いことが指摘できる。

 今後は,同様の項目を用いた継続調査の実施が望まれる。レビューした調査の中には,「情報化社会と青少年に関する調査」や「家庭教育におけるテレビメディア 青少年とインターネット等に関する意識調査」のように,複数回,複数年続けて行われている調査もあったが,その数は少なかった。冒頭で述べた「学校読書調査」のように,50年以上に渡り同じ項目を用いて継続調査を行うことは難しいが,その時代ごとの子どもたちのメディア利用行動の特徴を捉えていくために,読書以外にも,「日本人の生活時間」(NHK放送文化研究所)のように一定間隔(5年ごとなど)で,同じ年齢を対象とし,同じメディア項目を用いた大規模な調査が実施されていくことを期待したい。(鈴木)

参考文献

文部科学省 (1989-2007). 青少年問題調査年報1-20. 文部科学省スポーツ・青少年局.