英国の歴史学関係雑誌21誌が政府OA方針に対して異議

2012年12月10日、英国の“Past & Present”や“English Historical Review”等、歴史学関係雑誌21誌が連名で、フィンチレポートに基づく学術論文のオープンアクセス化を進める政府の見解に対し、その一部について異議を唱える声明を発表しました。

声明では、21誌の立場として
(1)投稿料モデルによるオープンアクセス(OA)化、いわゆるゴールドOAを認める。
(2)エンバーゴの経過後にOAとする、いわゆるグリーンOAについても認める。ただし、エンバーゴは36か月とする。
(3)掲載決定の判断は、著者がOAのための費用を支払うことができるか否かに関わらず行われるものとする。すなわち、論文の質だけが掲載基準とする。
(4)グリーンOAにせよゴールドOAにせよ、OA化のライセンスは“CC BY-NC-ND(表示-非営利-改変禁止)”とする。

このうち特に(4)に関し、政府はパブリックドメイン化(“CC-BY(表示)”)を求めていますが、21誌はその方針が著者の知的財産権の重大な侵害であり、著者に対して権利の放棄を求めることはできない、とコメントしています。

Statement on position in relation to open access (Institute of Historical Research 2012/12/10付けの記事)
http://www.history.ac.uk/news/2012-12-10/statement-position-relation-open-access

参考:
E1352 – 米国歴史学協会によるゴールドOAに対する憂慮とその反響
http://current.ndl.go.jp/e1352