E876 – 大学での司書資格取得に必要な科目等に係る意見募集が開始

カレントアウェアネス-E
No.142 2009.01.21

 

 E876

大学での司書資格取得に必要な科目等に係る意見募集が開始

 

 文部科学省は2009年1月16日,「司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目の在り方について」に関する任意の意見募集を開始した。

 これまで,大学での司書資格取得に必要な「図書館に関する科目」は,図書館法施行規則第4条第2項により,同第1項の司書講習での司書資格取得に必要な科目を準用する形で規定されてきた(CA1621参照)。しかし,大学での科目履修による司書資格取得者が多数であることを踏まえ,2008年6月に改正された図書館法では,「司書及び司書補の資格」要件を定めた第5条第1項の筆頭(第1号)に「大学を卒業した者で大学において文部科学省令で定める図書館に関する科目を履修したもの」と規定された(E799参照)。この法改正(ただし,上記の条項の規定は2010年4月1日が施行日)を受けて,生涯学習政策局長決定で設置された「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が検討し報告書(案)の形で取りまとめたものが,今回の「図書館に関する科目」意見募集の対象である。

 報告書(案)は,まず「図書館に関する科目」の基本的考え方,位置づけ等を示している。ここでは,従来の養成内容に加えて,社会における図書館の役割や意義の理解,急速に進行する情報化への対応に必要な知識・技術の向上,自治体行政や生涯学習の制度・政策に関する知識の充実,レファレンスサービスの体制作りと質的向上や課題解決支援サービス・発信型情報サービスに関する知識の習得などが,内容見直しの観点になったことが示されている。

 次いで,具体的な科目の設定とその体系,図書館実習・基礎的な知識や主題専門領域の学習の位置づけ,単位数・授業時間数を規定している。ここでは,必修科目として(1) 基礎科目,(2) 図書館サービスに関する科目,(3)図書館情報資源に関する科目の3分類11科目,また選択科目として7科目が挙げられ,必修科目の11科目22単位に,選択科目からの2科目2単位を加えた13科目24単位を,新たな単位数・授業時間としている。情報化の進展に対応した能力育成のための科目「図書館情報技術論」の新設,子どもの読書活動の推進のための科目「児童サービス論」の拡充,従来のレファレンスサービス演習および情報検索演習を統合した科目「情報サービス演習」の設置,従来の専門資料論の科目「図書館情報資源概論」への統合などにより,従来の14科目20単位から1科目の減少,4単位の増加となっている。各々の科目の詳細は,報告書(案)の別紙に記載されている。

 続いて,司書の養成に関する事項として,司書講習の科目・単位数の改正の必要性,新たな「図書館に関する科目」および単位数の施行の経過措置(3年程度)の必要性等が提起されている。そして最後に,「司書養成の更なる充実に向けて」と題して,これまでの司書有資格者が新たな「図書館に関する科目」の内容を学習すること,「図書館に関する科目」の教育内容等の改善のための研修等を行うこと,司書養成体制に対する外部評価を行うこと,司書養成を行っている大学間での連携・協力を推進すること,大学院での教育体制を整備する方向で関係者間での検討を進めること,等への期待を表明している。

 なお,意見提出の締め切りは,2009年1月26日となっている。

Ref:
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000361
CA1621
E799