カレントアウェアネス-E
No.130 2008.06.25
E799
図書館法など社会教育関連法規改正される(日本)
図書館法及び博物館法の一部改正を含む「社会教育法等の一部を改正する法律」案が,2008年2月29日に国会に提出され,同年6月4日に参議院本会議で可決,成立した(平成20年法律第59号)。同年6月11日に公布され,大学における図書館に関する科目などを規定した図書館法第5条1項1号及び2号に関する条文を除き,即日施行された。
図書館法(以下,改正図書館法を「法」,旧図書館法を「旧法」と記載)の改正点は,主に3つの論点に整理されている。第1に,教育基本法改正を踏まえた規定整備として,図書館奉仕にあたっての留意点に「家庭教育の向上に資する」ことが盛り込まれ(法第3条),図書館協議会委員を任命できる対象者に,「家庭教育の向上に資する活動を行う者」が新たに追加されている(第15条)。また社会教育における「学習の成果を活用して行う教育活動」の機会を提供する条文(法3条8号)も盛り込まれている。
第2に,図書館運営に関する規定として,「公立図書館の設置及び運営上望ましい基準」(旧法第18条)に関する条文が削除され,「図書館の設置及び運営上望ましい基準」を文部科学大臣が定め,公表する条文が追加されている(法第7条)。また運営状況の評価とその結果に基づく改善措置を実施する努力規定(法第7条の2),運営状況に関する情報を地域住民などの関係者に提供する努力規定(法第7条の3)が設けられている。
第3は,「司書及び司書補」に関する規定である。「司書になる資格を有する」ものについて「旧法」では,「司書の講習を修了したもの」(旧法第5条1項1号),大学で「図書館に関する科目を履修したもの」(旧法第5条1項2号)と規定されていたが,順を入れ替え,「大学において文部科学省令で定める図書館に関する科目を履修したもの」(法第5条第1項1号),「司書の講習を修了したもの」(法第5条第1項2号)とされることとなった。ただし法第5条1項1号及び2号改正の施行は,2010年4月1日からとされている(社会教育法を改正する法律付則第1項)。また司書補になる資格について,高等学校卒業者のほか,大学入学資格を有する者に拡大されている(法第5条2項2号)。また現職者に対しては,資質向上のために「必要な研修」を行う努力規定(法第7条)が新たに設けられた。
このほか「図書館資料」では,収集対象に「電磁的記録」が明文化された(法第3条1号)。
今回の図書館法改正及びその施行を受けて,すでに「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の一部を改正する文部科学大臣告示など,省令,告示の整備が行われている。なお現在のところ,2010年4月から施行される,大学における資格取得要件を定める「文部科学省令で定める図書館に関する科目」について,特段の公表はなされていないが,今後何らかの整備が進められるものと思われる。
Ref:
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/kakutei/08040703/080611/002.pdf
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/kakutei/08040703/080611/003.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/kakutei/08040703/080611/003/001.pdf
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/kakutei/08040703/080611/003/008.pdf
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DA3FBE.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/16903169051.htm