E810 – 世界の科学DBへのゲートウェイ“WorldWideScience.org”

カレントアウェアネス-E

No.131 2008.07.09

 

 E810

世界の科学DBへのゲートウェイ“WorldWideScience.org”

 

 2007年6月,米国エネルギー省(DOE)と英国図書館(BL)は共同で,科学技術の世界規模での発展に貢献するため,世界の科学情報データベースを横断検索できるゲートウェイ“WorldWideScience.org”の運用を開始した。サービス開始当初,検索できるのは10か国の12データベースであったが,2008年6月現在,44か国から,32の国営の科学情報データベース,ポータルサイトを横断検索することが可能となっている。

 このようなデータベースには例えば,“African Journals Online”(アフリカ諸国),“Australian Antarctic Data Centre”(オーストラリア),“Vascoda”(ドイツ)などがあり,参加国は6大陸をカバーしている。日本からは科学技術振興機構(JST)が参加しており,J-STAGE(CA1667参照)を含む4つのデータベースが検索対象となっている。またこのゲートウェイは,商用検索エンジンでは通常アクセスすることができない深層ウェブ(E182参照)にある科学技術情報まで検索できることを,他サービスと比較したときの強みの1つとしている。

 2008年6月,この“WorldWideScience.org”を永続的に管理し,維持していくための機構として,多国間同盟“WorldWideScience Alliance”が結成された。この同盟には,BL,Science.gov(米国の政府機関による科学情報ポータル),JSTなど,38か国を代表する11の機関が創設メンバー機関として名を連ねている。またこれらの機関に加え,国際科学技術情報会議(ICSTI)が,同盟のメンバー兼第1の出資者の役割を果たす予定である。今後もこの同盟への参加国は募集される。

 サービスの未来を支える仕組みを備え,“WorldWideScience.org”が今後どのように,科学的研究の発展に寄与していくのか,引き続き注目していきたい。

Ref:
http://worldwidescience.org/index.html
http://worldwidescience.org/ceremony
CA1667
E182