カレントアウェアネス-E
No.132 2008.07.23
E814
BLで『ラーマーヤナ』の展示に関する企画が続々登場
英国図書館(BL)では,2008年5月16日から9月14日の期間に,古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』に関する展示を行っている。メインの展示物の1つは,17世紀に作成され,彩色された色鮮やかな『ラーマーヤナ』の手稿版で,一般公開は今回が初めてとなる。今回の展示を通じて,『ラーマーヤナ』の物語について理解を深め,この叙事詩がどのようにして,何世紀にもわたってさまざまな国・文化のなかで上演され,語られてきたのかを探求することが目的であるという。なお,展示物にはBLの所蔵資料だけでなく,大英博物館やヴィクトリア・アンド・アルバート博物館といった関連機関から貸与を受けた,ほとんど一般公開されたことがないという絵画,織物,彫刻,影絵人形,ダンス衣装なども含まれている。
図書館施設内での展示に加え,ウェブを活用した企画にも力が注がれている。冒頭で紹介した17世紀の『ラーマーヤナ』の手稿は,貴重資料のオンライン・ギャラリー“Turning the Pages”(E710参照)でも公開されており,場所や時間を選ばず,見ることができる。また写真共有ウェブサイト“Flickr”(E443,E636,E788参照)に専用のページ“Ramayana Now”を設け,『ラーマーヤナ』を劇やダンスで演じている様子,影絵人形劇など,『ラーマーヤナ』の「今」を伝える写真を世界中から募集している。さらに,『ラーマーヤナ』に造詣の深い作家の講演をポッドキャストとして配信しており,今後もポッドキャストのコンテンツは増えていくということである。
BLはさらに,この展示に合わせ,『ラーマーヤナ』やインドに関する多様なイベントも実施している。例えば7月8日には,ロンドン市の“Big Dance”週間という企画とも連動して,インドの映画業界(ボリウッド;Bollywood)で活躍する振付け師を講師とする,無料のボリウッド・ダンス教室を開いた。今後も映画上映会,『ラーマーヤナ』のエピソードに基づくダンスパフォーマンスなど,次々とイベントが開催される予定である。
上記のほか,小学校と中等学校の生徒に対し,BLの担当者が無料で,『ラーマーヤナ』の物語やその背後にある宗教・文化・歴史・習慣などについて紹介するワークショップが行われている。
『ラーマーヤナ』という1つの展示テーマに対し,多様な展示物,ウェブでの情報提供,関連イベントなど,多角的なアプローチをとることにより,あらゆる人々がより深くその世界を理解できるよう,工夫が凝らされている。
Ref:
http://www.bl.uk/ramayana
http://www.bl.uk/news/2008/pressrelease20080222.html
E443
E636
E710
E788