E715 – 青空文庫,『青空文庫 全』を全国の公共図書館等へ寄贈

カレントアウェアネス-E

No.117 2007.11.14

 

 E715

青空文庫,『青空文庫 全』を全国の公共図書館等へ寄贈

 

 青空文庫は,著作権の消滅した作品と著作権者が公開に同意した作品を電子化してウェブ上で無償提供している電子図書館である。このほど開設10周年を迎えたことを記念し,青空文庫と日本図書館協会との協賛事業として,公共図書館および大学・短大・高専付属図書館計3,000館,高校図書館約5,000館に対し,これまでに蓄積された著作権切れの全作品6,612点を収めたDVD-ROM付きの冊子『青空文庫 全 もう一つの読む自由』(以下,『青空文庫 全』)を寄贈することが, 2007年10月26日に発表された。寄贈に要する費用約300万円は,貯蓄していた広告収入で賄うという。

 今回の寄贈計画は,青空文庫をより多くの人に知ってもらうこと,インターネットを利用できる環境にない人にも青空文庫を利用できる機会を設けること,著作権保護期間について考えるきっかけを作ることなどを目指して,有志により企画されたという。冊子『青空文庫 全』には,DVDの使い方や青空文庫のこれまでの歴史に加えて,著作権保護期間延長に反対するという青空文庫の立場とその理由も記されている(E594参照)。

 なお『青空文庫 全』は,10月27日から11月9日までの読書週間にあわせて,公共図書館等には2007年10月末に,高校図書館には2007年11月20日頃に届けられる予定だという。DVDに収められたファイルはウェブ版と同様,複製,頒布等も自由に行える。寄贈された『青空文庫 全』が,各図書館においてどのように提供され,利用されるのか,今後の展開も注目される。

Ref:
http://www.aozora.gr.jp/kizokeikaku/
http://www.aozora.gr.jp/
E594