カレントアウェアネス-E
No.100 2007.02.14
E603
図書館情報協会年次大会に見る南アフリカ図書館界のトピック
2007年の第73回国際図書館連盟(IFLA)大会の開催国・南アフリカ共和国の図書館界では現在,何がトピックとなっているのだろうか?2006年9月25日から29日まで,行政首都・プレトリアで開催された第9回南アフリカ図書館情報協会(LIASA)年次大会から,その一端をうかがい知ることができる。
大会そのものの開催は9月26日からであり,9月25日はプレコンファレンスとして,(1)子どもや若年者の学習の場としての図書館,(2)図書館情報学の研究・知識の共有,(3)ブログを作る,(4)非専門職の英語リテラシー,(5)南アフリカの発展への専門図書館の寄与,の5つのワークショップが行われた。このうちの(2)では,ICTと情報化社会,ナレッジマネジメント,情報検索の3つのセッションで,合計12本の研究発表が行われた。
9月26日の全体会議では,国家レベルでの図書館政策に関する基調講演が国立公文書館長(芸術文化大臣の代理)から,同じく状況報告が国立図書館長から行われた。図書館行政を司る芸術文化省では,南アフリカの読書文化の育成を目指しており,2006年からの3年で,総額10億ランド(約167億円)を投じて全国の公共図書館,コミュニティ図書館を振興・更新する。また図書館に関する法制として「図書館変革憲章」を制定する予定であり,その準備をしているところであるという。
また翌9月27日の午前には収集,高等教育,書誌標準,ICT,相互貸借,公共・コミュニティ図書館,研究・研修,学校・若年者サービス,専門図書館,職員支援の各分科会が同時並行で行われた。また午後には,合計17本の研究発表が同時並行で行われた。午後の発表には,情報リテラシーの普及や研究図書館における図書館司書・情報専門職の役割に関するものが多く見られ,教育・学習・研究の支援が課題であると察することができる。
9月28日にはIFLA大会に関するセッションが行われ,IFLAやIFLAアフリカ地域分科会の説明がなされた。また9月29日の最終日には,図書館と社会・コミュニティに関する発表・ディスカッションが行われている。社会の統合やコミュニティの振興に資するために,図書館ができること・すべきことについて,ガーナ・ケニアからのゲストスピーカーによる事例紹介も含めて,5つの報告がなされている。
IFLA南アフリカ大会は「未来,進歩,発展,パートナーシップのための図書館」をテーマとして掲げている。南アフリカの進歩・発展を担う社会の知識基盤として,図書館が果たすべき役割は大きく,重要である。
Ref:
http://www.liasa.org.za/conferences/conferences.php
http://www.liasa.org.za/conferences/conference2006/LIASA_Conference06_programme.pdf
http://liasacon06.pbwiki.com/
http://www.liasa.org.za/branches/wcape/WC_newsletter_Dec2006.pdf
http://www.liasa.org.za/branches/gautengn/LIASA_Gauteng_N_Newsletter_Nov2006.pdf
http://www.dac.gov.za/speeches/minister/Speech2June06.htm