カレントアウェアネス-E
No.85 2006.06.21
E501
スーダンでデジタルアーカイブが誕生
紛争が続くスーダンでは,1989年からユニセフなどの国連機関やNGOが協同で,「スーダンライフライン活動」(Operation Lifeline Sudan)が行われているが,その過程では電子的なものを含む多種多様の文書が作成された。これらの文書には公式的な資料ばかりでなく,NGOメンバーによる未刊行のレポート,回覧板,書簡やリアルタイムで収録されたラジオのレポート番組など,紛争や人道支援の状況下における日々のエピソードが詳細に記録された資料をも含み,歴史的資料としても貴重な価値をもつ。だが現在のところ,スーダン国内ばかりでなくケニアにも分散して保管されているほか,一部は劣化の進行がみうけられるなど,状況はかならずしも芳しくない。
ユニセフ(UNICEF)とリフトバレー研究所(Rift Valley Institute)は,そのような状況を打開すべく,協同でデジタルアーカイブの構築作業を進めていたが,このたび“Sudan Open Archive”として正式に公開した。
まず第一弾として「スーダンライフライン活動」に関する基本的なテクニカル・レポートや未刊行の灰色文献など,500文書が公開される。さらに6月には環境問題やスーダンの地域和平プロセスに関する資料が公開され,追ってスーダン語の文法書,辞書,教養書,学術文献や回顧録,アラビア語資料,地図,さらに写真やビデオなども公開が予定されている。
このアーカイブは無償で公開され,オンラインだけではなくDVD媒体による提供も予定されている。図書館数が不足しているスーダンでは,国民に対する情報源としてもこのデジタルアーカイブが機能するのではないかと期待されている。
Ref:
http://www.sudanarchive.net/
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/IRIN/9b43a1f73b4b7e9eb3312f7a6cf7fce9.htm
http://www.balancingact-africa.com/news/back/balancing-act_290.html#head