E2870 – 「国立公文書館アーカイブズ・シンクタンク」ウェブサイトについて

カレントアウェアネス-E

No.520 2026.03.12

 

 E2870

「国立公文書館アーカイブズ・シンクタンク」ウェブサイトについて

国立公文書館統括公文書専門官室・寺澤正直(てらさわまさなお)、渡辺悦子(わたなべえつこ)

 

  国立公文書館(以下「当館」)は、2029年度の新館開館に向け、「公文書管理の中核組織(Center for Archives)」として、民主主義の根幹を支える基本的なインフラである公文書等の保存及び利用を通じ、「現在」及び「将来」の国民の国づくりへの参加や質の高い生活の実現に寄与することを目指している。こうしたビジョンの下、当館では、公文書管理と公文書館の業務に関する理論と実務の両面を支える研究基盤の整備に取り組んでいる。

  その取組の一環として、2026年2月、当館の調査研究の成果を基盤に、公文書管理に役立つ情報を提供することを目的とする「国立公文書館アーカイブズ・シンクタンク」ウェブサイトを公開した。本ウェブサイトは、公文書管理に関わる行政機関等の職員や、公文書館等で業務に従事する職員を主な対象とし、制度運用や実務検討の参考となる情報を体系的に集約・提供することを目指すものである。

  本ウェブサイトの構築に当たっては、利用者の視点を取り入れながら段階的に整備を進めるため、正式公開に先立つ2025年8月にパイロット版を公開した。パイロット版公開後、国内の有識者や関係者を対象に、情報の探しやすさや掲載内容の妥当性、今後追加すべき情報等について意見聴取を行い、その結果を踏まえて構成や内容の改善を行った上で、今回の公開を迎えている。

  本ウェブサイトの情報は、「基盤データ」と「国立公文書館の取組」を中核に構成している。「基盤データ」には、公文書管理において国内外で共有される基礎的な情報を知識基盤として位置付け、公文書管理関係法規集、国際標準の日本語訳、諸外国の国立公文書館に関する基礎情報などを体系的に集積している。一方の「国立公文書館の取組」では、当館が実施する調査研究の成果を蓄積している。これらの情報に対しては、利用者の立場や関心に応じてアクセスできるよう、利用者別や、「テーマで探す」ための探索窓口を用意している。

  利用者別では、本ウェブサイトの主な「顧客」として、「行政機関の方へ」と「アーキビストの方へ」の二つを設定している。「行政機関の方へ」では、公文書管理関係法規集や電子公文書の作成・保存・利用に関するガイドブックなど、行政文書管理の実務に直結する情報を整理している。「アーキビストの方へ」では、国際的な倫理規範やアーカイブズ記述標準、当館が作成した「デジタルアーカイブ・システムの標準仕様書」など、アーキビストなど専門職の実践を支える資料をまとめている。

  また、「テーマで探す」では、「デジタル化及び電子公文書」や「保存・修復」といった分野別に情報にたどりつけるようにもしている。将来的には、「アーキビストの職務基準書」を軸に、評価選別・収集、利用、普及といった業務領域ごとに情報を体系化し、職務横断的な知識の参照や比較が可能となる構成となるよう努めていく。

  先述のとおり、本ウェブサイトは、新館開館に向けた「公文書管理の中核組織(Center for Archives)」というビジョンの下に構築されたものである。将来的には、より国民本位の国立公文書館となるべく、公文書管理や公文書館の役割に関心のある研究者やジャーナリスト、その他国民に向けて発信するウェブサイトを目指している。今後も当館では、調査研究の成果を継続的に集約・更新するとともに、利用者からの知見やニーズを踏まえながら、本ウェブサイトの内容の充実を図っていく予定である。公文書管理に携わる関係者にとって、本ウェブサイトが日常的な業務や検討の拠り所となり、公文書管理の実践と発展を支える情報基盤として広く活用されることを期待したい。

Ref:
国立公文書館アーカイブズ・シンクタンク.
https://www.archives.go.jp/thinktank/
鎌田薫. 新館開館に向けた国立公文書館のビジョン. アーカイブズ. 2024, (93).
https://www.archives.go.jp/publication/archives/no093/15817
国立公文書館. アーキビストの職務基準書. 2018, 26p.
https://www.archives.go.jp/about/report/pdf/syokumukijunsyo.pdf