E485 – 中国における著作権侵害対策ハンドブック <文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.82 2006.05.10

 

 E485

中国における著作権侵害対策ハンドブック <文献紹介>

 

 文化庁. 中国における著作権侵害対策ハンドブック. 2005. 173p. (オンライン), < http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kaizokuban/pdf/china_singai_handbook.pdf >, (参照2006-04-12).   

 アジア地域では,映画,音楽,アニメ,ゲームソフトなど日本の著作物の海賊版が大量に流通しており,深刻な問題となっている。また権利侵害に対応するには,権利者が自らの権利を守るために訴訟など権利の執行を行う必要がある。  

 このため文化庁は,権利者自らが権利執行する際に必要な各国の法制度の調査を行い,情報提供を行ってきた。2005年度には,弁護士や業界団体の代表を中心とする「中国における著作権侵害の現状と対策に関する研究会」を設け,実用的で即戦力になる手引書としてハンドブックを作成した。これは2004年度の台湾版に続く,2つ目のハンドブックである。  

 中国は,世界貿易機関(WTO)加盟後のここ数年,知的財産権に関する法や制度の整備に力を入れるとともに,海賊版を含む著作権侵害についても重点的な取り締まりを行っている。しかし,2005年4月に発表された白書『中国の知的財産権保護の新たな進展』で中国政府自らが認めているとおり,十全な権利の保護までの道のりはまだ長いと見なされている。  

 このハンドブックでは,権利者が権利執行のため中国国内で取り得る手段,たとえば刑事訴訟,民事訴訟,行政機関による著作権保護制度(行政保護),調停などについて,その具体的な手続きを解説している。また,中国の著作権制度,インターネットに関連する著作権,行政・司法機関など関係機関の体制の解説も行っている。

Ref:
http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kaizokuban/taisaku.html
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/xwdt/t192745.htm
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=759