カレントアウェアネス-E
No.82 2006.05.10
E479
カーネギー図書館は地域社会にどう貢献しているか(米国)
米国・ピッツバーグ市のカーネギー図書館が,110年の歴史において初めて地域への貢献度を計量化した。カーネギー図書館とカーネギーメロン大学の経済開発センターは,カーネギー図書館の地域への影響を「投資に対する効果=経済的価値」「地域社会や住民に対する寄与」といった側面から分析した結果を報告書にまとめ,この度発表した。
この調査は2005年,1,300人を超える個人や2つのフォーカスグループ(ビジネス利用者,関連機関の人)を対象とした調査,費用対効果分析などにより行われた。経済面での影響では,年間9,100万ドル(約101.4億円)以上の経済効果(1ドルの投資に対して3〜6ドルの利益)をもたらしていることや4,100万ドル(約45.7億円)相当の図書・DVD・データベースなどを無料で提供していることが,地域住民に対するリテラシー教育との関係・地域社会への寄与については,子どもの読書を推進する施策を行っていること,図書館計画へ多くの地域住民の参画を得ていること,図書館における集会活動などに利用されていることなどが,それぞれ示されている。
また,地域住民の間で,リテラシー教育・学習への寄与をはじめ,暮らしの質(QOL)の向上,子どもや若者を対象とした活動などにおいて図書館の活動が利益をもたらしているとの認識が高いとも報告されている。