カレントアウェアネス-E
No.75 2006.01.18
E433
PtoP方式によるダウンロード自由化のゆくえ−フランスの新しい著作権法案
2005年12月,フランスの国民議会(assemblee nationale)において,「情報社会における著作権及び著作隣接権に関する法案」の票決が行われた。この法案は,フランス国立図書館(BnF)および国立視聴覚研究所(Ina)をインターネット情報の保存機関とすることや,インターネット情報の私的使用の範囲を拡大することなどを定めるもので,以前から議会において審議されてきた(E154参照)。
インターネットの私的使用について,フランス文化・通信省は著作権保護の対象となる作品の無断ダウンロードを禁止する規定を盛り込んだ法案を準備していたが,これに反して実際の票決では,社会党や国民運動連合(UMP)による,Peer to Peer(PtoP)方式によりインターネット上のコンテンツを自由にダウンロードすることを認める修正案が承認された。「情報社会における著作権及び著作隣接権に関する法案」は,情報社会における著作権に関する欧州指令(Directive 2001/29/EC:EU加盟国は2002年12月までにこの決定を受けた国内法を制定する必要があったが,フランスは未だこれに対応できておらず,2005年中に国内法が制定できない場合は罰金を支払わなければならなかった)に準拠したものと位置付けられているが,文化・通信省は,急いでこの案の可決を図るよりも,1月17日からの今会期において再度審議を行うことを決めた。
文化・通信省は,私的複製の例外規定の強化,PtoP方式によるファイル,ソフトウェア交換の抑止などを修正点として,今会期において再度,同法案に関する審議を行いたいとしている。
Ref:
http://www.ina.fr/presse/pdf/173.pdf
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-651865,36-724016@51-698751,0.html
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20093560,00.htm
http://www.culture.gouv.fr/culture/actualites/communiq/donnedieu
E154