E364 – もっとも効率的な図書購入方法とは?(英国)

カレントアウェアネス-E

No.64 2005.08.17

 

 E364

もっとも効率的な図書購入方法とは?(英国)

 

 7月29日,英国のコンサルティング会社PKFは『公共図書館:効率性と蔵書のサプライチェーンに関するレビュー』と題する報告書を公表した。これは,英国文化・メディア・スポーツ省(DCMS)と英国図書館・博物館・文書館国家評議会(MLA)から委託を受けて,全英の公共図書館サービスの効率性,費用対効果について現状を分析し,どのようにすれば最大限の効果を引き出すことができるかについて提案を行ったものである。

 報告書は,まず,同じ新刊書をいくつもの図書館が購入しているといった事実に注目した上で,それぞれの自治体,図書館がそれぞれの方法で図書購入を行うのは非効率的であると指摘している。そして,その解決策として,(1)選書・目録・装備・配送といった図書購入プロセスの要件を標準化すること,(2)全国レベルで図書購入の仕組みを一元化し,大幅割引による経費節減を図ること,(3)専門家の図書館員を雇用したサプライヤー側が一括して選書を行い,個々の図書館では利用者サービスに集中すること,(4)図書館サービスに権限と責任をもつ国家機関が必要であること,などを提案した。これを受けて,DCMSとMLAは連名の声明を発表し,報告書に基づき,図書購入プロセスの標準化,集約化を推し進めると明らかにした。2008年の本格運用を目指し,8月にも計画策定を始めるという。

 また,同日,MLAは下院文化・メディア・スポーツ特別委員会の報告書(E313参照)への回答として,今後3年間,図書共同購入構想の推進とともに,開館時間の延長などを目標とすると発表した。同様に,DCMSも7月20日に回答を発表し,「将来への枠組み」(E056参照)に対して400万ポンド(約8億円)を追加出資すると明らかにしている。近年厳しい批判に晒されてきた英国の公共図書館界(E195参照)は,変革の道を歩み始めた。

Ref:
http://www.mla.gov.uk/action/framework/framework_04b.asp
http://www.culture.gov.uk/global/press_notices/archive_2005/dcms104_05.htm
http://www.mla.gov.uk/news/press_article.asp?articleid=834
E313
E056
E195