E323 – 学術機関リポジトリの普及に向けて<文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.57 2005.04.20

 

 E323

学術機関リポジトリの普及に向けて <文献紹介>

 

国立情報学研究所. 学術機関リポジトリ構築ソフトウェア実装実験プロジェクト報告書. 2005. 180p. (オンライン), 入手先< http://www.nii.ac.jp/metadata/irp/NII-IRPreport.pdf >, (参照2005-04-15).

大学などの研究機関で生産された研究成果などを蓄積・保存し公開する学術機関リポジトリが国内外で注目を集めている(E311参照)。本報告書は,国立情報学研究所(NII)が千葉大学など6大学とともに2004年6月から2005年3月まで行ってきた,学術機関リポジトリ構築ソフトウェア実装実験プロジェクト(NII-IRP)の活動をまとめたものである。

 第1部では,EPrintsやDSpace(CA1527参照)といったオープンソースのリポジトリ・システムを導入した経験(インストール,設定,日本語化等)について詳細に報告している。第2部では,学内合意形成,運用ルール・体制の整備,コンテンツ収集,著作権処理,Eラーニング等との連携,メタデータ登録といった事業運営上の課題と戦略について実例をまじえてポイントを解説している。さらには,参加各大学の現状と課題,商用システムの概要なども紹介されている。このように,本報告書は実務的な経験を共有しようとするものであり,リポジトリの構築を検討しようとする各機関にとって参考となるガイドラインになっている。

 報告書では,リポジトリは学術情報のオープンアクセス化(CA1544参照)を促進する手段であるとともに,その機関にとっては研究教育活動を社会に説明することができる,研究者にとっては研究業績のインパクトを高めることができる,そして図書館にとっては学術情報流通の中で確固とした存在意義を示すことができるといったメリットを持つことを強調している。

Ref:
http://www.nii.ac.jp/metadata/irp/index.html
E311
CA1527
CA1544