カレントアウェアネス-E
No.57 2005.04.20
E322
新聞デジタル化の諸相 <国際新聞会議報告>
2月22日から24日にかけて,「国際新聞会議:アジアと太平洋−21世紀の新聞」と題する国際会議がオーストラリア国立図書館で行われた。この会議は,同図書館と国際図書館連盟(IFLA)の共催によるもので,計16人が報告を行い,13か国から約90名が参加した(うち70名近くがオーストラリアからの参加)。会議の目的は,各国図書館の新聞コレクションの重要性や,それらへのアクセスを促進する必要性についての意識の喚起,古い新聞のデジタル化計画についての情報交換等である。特にデジタル化に出席者の関心が集まった。
ヴァルラーフェンス(Hartmut Warlravens)IFLA新聞分科会委員長(ベルリン州立図書館)による新聞分科会の活動報告およびドイツの図書館の新聞に関する活動の報告が行われた後,19世紀の新聞をデジタル化して公開するプロジェクトの紹介(英国図書館,ニュージーランド,フィンランド両国立図書館等)や資料保存プロジェクトの報告等,さまざまな観点からの報告が行われた。
一例として英国図書館では,19世紀の国内の新聞約200万ページをデジタル化してウェブ提供するプロジェクトを2004年から開始している。2006年完了予定であるが,一部はそれ以前に公開される。全国紙と地方紙を組み合わせ,あるいは知られていない地方紙を発掘して,当時の政治・社会状況を反映するものとするよう努めているとのことであった。米国議会図書館も各州と協力して20世紀初頭の新聞をデジタル化する計画を2004年から始めている。
また欧米地域では,特に古い新聞のデジタル化に対する利用者の要望が強く,それがプロジェクトの推進を後押ししている事情も知ることができた。
(報告:山口和人)
Ref:
http://www.nla.gov.au/initiatives/meetings
http://www.bl.uk/collections/britishnewspapers1800to1900.html
http://www.loc.gov/today/pr/2005/05-082.html