E307 – 2015年の公共図書館(英国)

カレントアウェアネス-E

No.55 2005.03.16

 

 E307

2015年の公共図書館(英国)

 

 レイザー財団は,2月18日,10年後の公共図書館のあり方を展望したディスカッション・ペーパー『図書館のビジョン:2015年の公共図書館サービス』を発表した。若手中間管理職を主たる参加者としたセミナーの成果をもとに作成したもので,経営からサービス,蔵書構築,建築,政策まで幅広く提言を行っている。英国では,報告書『責任者は誰?』(E195参照)が,来館者や貸出の減少等を取り上げて公共図書館サービスの現状を批判し波紋を呼んでいる。こうした批判を踏まえながら,これからの公共図書館はどうあるべきかを論じている。

 論点は多岐にわたるが,例えば,経営面では,職員の変革マインド,管理職の変革マネジメント能力,環境変化に対応し顧客志向を徹底させるためのマーケティングの重要性等が指摘されている。職員については,「最大の資産か,最大のコストか?」と問いかけ,2015年の職員に求められるものとして,柔軟性,多彩なスキル,変則的な勤務時間への対応,情報コミュニケーション技術(ICT)・蔵書に関する知識,積極的な顧客対応,情報管理能力,マネジメント能力等を列挙している。全般に刺激的な論調となっているが,議論が具体的な数値に基づいていない,との批判もある。

Ref:
http://www.futuresgroup.org.uk/index.php?pageid=5&docid=23
http://www.bl.uk/about/cooperation/laser.html
E195