カレントアウェアネス-E
No.525 2026.06.25
E2890
紙芝居文化の会創立25周年:その歩みと紙芝居の果たす役割
紙芝居文化の会顧問/株式会社童心社会長・酒井京子(さかいきょうこ)
紙芝居文化の会統括委員/豊田市こども図書室読書相談員・道山由美(みちやまゆみ)
紙芝居文化の会は、2026年に創立25周年を迎える。本稿では、これまでの当会の歩みや図書館における紙芝居を通した活動を紹介し、紙芝居の役割について述べる。
●創立の経緯と目的
1991年、絵本作家・まついのりこさんがベトナムで紙芝居講座を行った。その時、紙芝居についての理論が構築されていないことに気がつき、研究会を約3年間続けた。そこに集まった人たちが中心となって、「紙芝居文化の会」が2001年に創立された。
その目的は、日本独自の文化財である紙芝居が、優れた演じ手によって演じられ日本はもとより世界中に共感の輪が広がること、また、紙芝居を研究することである。
●運営委員の活動
日本全国にいる運営委員はそれぞれの地域で活発な活動を行っている。またさまざまな研究会に属し、楽しい研究会活動も行われている。「おすすめ紙芝居検討部会」「理論研究部会」「平和紙芝居部会」「歴史研究部会」などである。
●海外との交流
フランス・ドイツ・オランダ・スペイン・マレーシア・中国などの多くの国と紙芝居をとおして交流を行ってきた。現在も約300人以上の海外会員がいて、活発な活動を行っているのである。
●日本での広がり
国内会員は約600名で、さまざまな活動が行なわれている。地域での集会の開催、学校や幼稚園・保育園・地域センターでの実演などである。これと同時に各地で参加者が100名~200名を超える大きな紙芝居講座も行ってきた。そこでは、紙芝居の理論についての発表と共に、参加者に演じてもらい紙芝居への理解を深めることも行ってきたのである。会場は熱気に包まれ、笑顔がいっぱいの楽しい学びの場となっていくのである。
●紙芝居と図書館
紙芝居は、未だに「自転車に舞台をのせて拍子木を叩いて、おじさんがやってきた」などと紹介される。子どもたちが路地で群れて遊んだ姿と共にノスタルジーで語られることが多い。しかし、現在の紙芝居は全く違うものとなっている。オーバーに演じなくてもよく、作品内容を楽しむものになっている。新しい視点で紙芝居をとらえ、図書館でもっと活用してほしい。本章では、筆者(道山)の豊田市こども図書室(愛知県)読書相談員としての経験を踏まえ、図書館における紙芝居の活用について述べる。
「紙芝居をやると子どもが集中するわよ」――これは、私がお話会を始めようとした時、先輩に言われた言葉である。「絵本読んで紙芝居やってまた絵本。この順番でやれば集中するわよ。」ずいぶん乱暴な言い方だが、この紙芝居と絵本を組み合わせるプログラムは現在も豊田市こども図書室で行われている。図書館のお話会で紙芝居は欠かすことはできず、紙芝居だけのお話会もとても喜ばれている。それほど子どもを集中させるものだけに、図書館員は紙芝居作品を選ぶことに心を配ってほしい。紙芝居でも選書は大切にしたい。
コロナ禍で図書館滞在時間を短くするよう要請があった時、学年、年齢別の「貸し出しパック」が大好評だった。「絵本2冊と紙芝居1冊」をセットにした。すると「家族で紙芝居を演じてとても楽しかった」との感想があった。その後、開架の紙芝居の題名を見やすくする工夫や、年齢に合わせた配架をすると、紙芝居の貸し出しが増えた。子どもたちがスマホやタブレットに夢中なのを嘆く保護者に紙芝居を勧めると、「紙芝居は人間が声をださないと進まないのね。子どもから何度もやってと言われる。」と、親子の時間を楽しむ感想もあった。紙芝居はデジタル機器と真逆の部分が多い。
●紙芝居の果たす役割
IT化が急激に進む現代、人と人が向き合い、肉声で演じる紙芝居は、現代社会にとって重要な役割を果たしている。紙芝居を演じることで、子どもたちはもちろんのこと、大人にも笑顔をつくっていきたいと願っている。紙芝居の演じ方、作品の選び方などについては紙芝居文化の会のウェブサイトで紹介されているので、ぜひ参照されたい。
Ref:
紙芝居文化の会.
https://www.kamishibai-ikaja.com/
“演じ方・おすすめ紙芝居”. 紙芝居文化の会.
https://www.kamishibai-ikaja.com/recommended.html
紙芝居文化の会企画制作. 紙芝居百科. 童心社, 2017, 159p.
