カレントアウェアネス-E
No.48 2004.11.17
E269
オンライン時代のILLとは? <文献紹介>
Jackson, Mary E. Will electronic Journals eliminate the need for ILL? Interlending & Document Supply. 32(3), 2004. 192-193.
電子環境下にあってILL(図書館間相互貸借)は不要になるのだろうか?米国研究図書館協会(ARL)でILL/DD(ドキュメント・デリバリー)サービス評価調査を指揮してきたジャクソン氏が,調査における予期しなかった知見について報告している。記事によると,電子ジャーナルなどの導入によってILLの需要が減少する傾向があるとの報告もあるが(CA1530参照),ARLの調査では,電子情報資源の拡充にも関わらず,利用者からのILL貸出・複写依頼は増加しているという。この意外な結果について,著者は,オンライン上で文献の情報を見つけやすくなったこと,ILLサービスが迅速になったこと,オンライン目録に電子ジャーナルが含まれていないことなどが理由として考えられると指摘している。
10月にはOCLCが,GoogleやYahoo!とともに進めてきたOpen WorldCatパイロットプログラム(E149参照)を2005年1月から正式プログラムとして拡張すると発表している。これまでに200万の書誌レコードをウェブに開放したが,今後は5,300万の書誌レコードと9億にものぼる所蔵レコードの開放も視野に入れる。1か月に300万件のアクセスがあったことから,ILLの需要増加も見込めるとOCLCは自信をみせている。
なお,こうした電子環境下におけるILL/DDの動向と戦略について考えるため,国立国会図書館ではジャクソン氏ほか2名をお招きして, 12月15日に関西館で国際セミナー( http://www.cdij.org/ndl/ )を開催する。
Ref:
http://www.arl.org/arl/pr/ill_dd_study.html
http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb041011-2.shtml
CA1530
E149