E2350 – 「探究的な学び」を支える鳥取東高等学校の図書館活動

カレントアウェアネス-E

No.427 2021.01.28

 

 E2350

「探究的な学び」を支える鳥取東高等学校の図書館活動

鳥取県立鳥取東高等学校・三好明美(みよしあけみ)

 

   鳥取県立鳥取東高等学校は,理数科および普通科を擁し,2020年度現在,生徒843人,教職員83人が所属している。生徒の大多数が大学進学を目指している,いわゆる「進学校」である。

   図書館棟2階に位置する当校の図書館は,蔵書数は約3万7,000冊,担当職員は総務部図書係に所属し,専任学校司書1人と国語科教諭兼司書教諭(筆者),合計2人で運営にあたっている。ちなみに鳥取県は,学校司書の配置が努力義務とされた2014年の学校図書館法一部改正(E1597参照)以前の2002年から2006年にかけて,県立高等学校の学校司書は全員が正職員として採用され,同じく同法への附帯決議で11学級以下の学校での配置促進が求められた司書教諭は,2003年には学級数に関係なく,全ての小学校・中学校・高等学校・特別支援学校に配置されている。

   さて,図書館の活動は多岐にわたるが,本稿では,授業支援の中でも「総合的な探究の時間」(以下「総探」)について述べたい。本校で全生徒による「総探」が始まったのは,2019年度からであり本格的に図書館と連携したのは今年度からである。理数・探究部企画係が主となり,図書係と連携を取りながら年間39時間(木曜日8限(平常は7限まで))の活動を行っている。以前は各教科や,総合的な学習の時間(CA1934参照),課題研究の時間等に単発的な図書館活用が行われていたが,「総探」との連携の開始に伴い,改めて各学年での活動の系統だてを行なっている。

   2020年度の「総探」の主な流れは次のようなものである。1年生では探究の手法を学び「基礎力」を培う。具体的には4月に図書館オリエンテーションを学校司書と司書教諭で行い,図書館全般について学ぶ。その後6月までに各クラスの副担任を中心にワークシートなどを用い簡単な探究活動のサイクルを体験する。7月からは「鳥取学(=地域課題解決探究学習)」を開始し,7つの分野(地域創生・地域活性・産業A(農林水産)・産業B(工業・製造業)・医療/看護・コミュニティ作り・教育/文化)から個人で希望する分野を選び,同じ分野を選んだ4人から5人を集めクラスの中での班を作る。そして,各分野に関連する企業等から与えられた課題に班ごとに取り組む。課題解決に向けて情報収集する際,インターネット情報だけに頼らず,紙資料を活用することを重視させる。12月に分野ごとに分かれて企業等に出向きミニプレゼンを行う。そこで指摘のあった内容について再度吟味し,1月末に校内でプレゼンを実施する。

   2年生では探究活動の活用を広げ,自ら課題を見つけ自身で問いを作り探究をするための活動を行う。4月から7月まで持続可能な開発目標(SDGs;CA1964参照)を通して時事問題に関する課題を考え,各クラスで4人から5人を1班として活動する。図書館が探究活動に適したワークシートを提案し,生徒は図書資料を使ったり,最新の情報を収集するため図書館で契約している新聞記事データベースなどを活用したりしてプレゼン動画を作成し発表を行う。年度の後半は鳥取県内で活躍する企業を招き講演会を開催した。

   3年生では自分の進路に結び付いた実践に移し「進路を切り拓く」ことを目標に掲げている。「総探」を通じ自らの課題を発見し,必要な情報を収集・分析し,主体的・協働的な課題解決に向かう力を身に付けるため,各自が夏季休業後をめどに小論文を書いている。図書館としては小論文を書く時の参考文献等に関して学校司書が生徒にレクチャーしたり,レファレンスを受けたりしている。

   また,図書館が授業を支える場としてより使いやすくなるよう,環境整備と資料の充実に努めている。環境整備では,全職員対象に校内で職員研修会(年1回)を開催し大学教員を招聘し,講演会やワークショップを行っている。また資料活用に必要な印刷機を購入したり,授業や生徒のプレゼンのために電子黒板を取り入れたりして学習環境を整えている。

   資料の充実では,さらに図書館の蔵書や雑誌の充実を図り,新聞記事データベース(全国紙1・地方紙1)の導入,それでも足りない資料については,宅配便等で土日を除いて毎日届く鳥取県立図書館独自のシステムを使い,県立図書館や県内の高校図書館から借り受けている。さらに,必要に応じ県立図書館の訪問相談など学校図書館支援を利用している。この他、専任ではない司書教諭は図書館で行う授業の進め方等に関し相談に乗り,実質的には学校司書がティーム・ティーチング(T・T)の担当者として授業に参画している。

   このように「総探」に関して図書館は,まだ,理数・探究部のサポートをする役割に留まっている感は否めない。しかし,ここに至るまでに学校司書とともに毎年少しずつ図書館を整備し,学習環境を整えてきた成果が授業に還元されつつある。これも管理職をはじめ,様々な教員の理解と協力のおかげである。2021年度以降は計画段階から参画し,より体系的に図書館活用ができる工夫を行いたい。また,生徒が主体となり自ら問いを作っていくような「総探」を目指し授業支援を行っていきたい。

Ref:
“【鳥取東高等学校】1年総合的な探究の時間「鳥取学」~学校図書館を活用した探究学習~”. 鳥取県. 2020-09-25.
http://db.pref.tottori.jp/pressrelease2.nsf/webview/C7881BC0D454B992492585EE0006F84A
@tottori_kyouiku. Twitter. 2020-10-09.
https://twitter.com/tottori_kyouiku/status/1314362184613330944
“学校・先生のためのお役立ちメニュー”. 鳥取県立図書館学校図書館支援センター.
https://www.library.pref.tottori.jp/support-center/cat11/
今井福司. 2014年学校図書館法一部改正:学校司書法制化について. カレントアウェアネス-E. 2014, (265), E1597.
https://current.ndl.go.jp/e1597
森田盛行. 新学習指導要領と学校図書館の活用. カレントアウェアネス. 2018, (337), CA1934, p. 9-11.
https://doi.org/10.11501/11161997
中村穂佳. SDGsと図書館 ―国内の取組から―. カレントアウェアネス. 2019, (342), CA1964, p. 6-8.
https://doi.org/10.11501/11423546