E2144 - 研究データ同盟第13回総会<報告>

カレントアウェアネス-E

No.370 2019.06.13

 

 E2144

研究データ同盟第13回総会<報告>

 

   「障壁なきデータ共有」をスローガンとする研究データ同盟(RDA;E2096ほか参照)の第13回総会は,“With Data Comes Responsibility”を全体テーマに,2019年4月2日から4日にかけて米国のフィラデルフィアで開催された。RDAには137の国・地域から8,000人以上が登録している(第13回総会時点)。本総会には448人が参加し,日本からは12人が参加した。参加者の属性は主にデータ共有に関する研究者,研究機関や大学におけるデータ管理者,研究図書館や大学図書館の図書館員等である。

    RDAはBirds of a Feather(BoF),Interest Group(IG),Working Group(WG)という3種類のグループから構成されており,議論の成熟度に応じて,BoF,IG,WGと段階が進む。第13回総会時点ではIGが66,WGが36設置されていた。総会では,全体会の他に各グループによる分科会での議論の時間が設けられている。また,グループ同士の協力が推奨されており,複数のBoF,IG,WGが共催する分科会も開かれている。

    オープニングの全体会では,ハナホー(Hilary Hanahoe)事務局長が,全体テーマに合わせて“What is our responsibility?”(我々の責任は何か?)と題し,様々な観点から組織としてのRDAや第13回総会,そしてRDAのメンバーに求められる事柄を紹介した。「我々には,新たなデータの世界を結ぶ,堅固で美しく,立派な懸け橋を作り上げる責任がある」という言葉は印象的であった。 

   図書館との関連が深い分科会として,「研究データのための図書館」(Libraries for Research Data)IGの分科会があり,研究データの利活用において図書館が果たすべき役割について議論している。これまでの成果として,図書館員が研究データを管理する際に役立つ実践的な無料オンラインリソースやツールを23項目紹介した「「研究データ図書館」からの23のアドバイス」が公表されている。今回同分科会では,米・インディアナ大学が,図書館情報学大学院のデジタルキュレーションコースについて報告を行った。同コースではデジタルデータの長期にわたる保存と提供に携わる人材の育成を行っている。また,「研究データの取り扱いに関する教育と訓練」(Education and Training on Handling of Research Data)IGからは,研究者・研究機関による研究データ管理(RDM)を推進する“Engaging researchers with research data: What works?”プロジェクトの活動紹介があった。同分科会後半には参加者による議論が行われ,WikiCiteとWikidataの活用において図書館員が中核的な役割を担うことができると示唆された。

   このほかに筆者が参加した「人文・社会科学における研究データ」(Social Sciences & Humanities Research Data)IGでは,同IGの概要説明およびこの分野でオープンデータ化に取り組んでいる欧州のSocial Sciences & Humanities Open Cloud(SSHOC)プロジェクトや人文学分野でのRDAの取り組みの紹介に加えて,「言語学データ」(Linguistics Data)IG等他のグループとの棲み分けや,同IGで扱う核となるデータの明確化等,同IGの方向性に関する議論が行われた。

    今回の総会では,2日目全体会でのディスカッション「持続可能な開発のためのデータ」(Data for Sustainable Development: Opportunities, Challenges and Responsibilities)においてEU一般データ保護規則(GDPR;E2053参照)に言及される等,全体テーマである「責任」も含め,実際にオープンデータ化に取り組むにあたって生じる諸問題への対処等現実的な観点での議論が多く見られた。これはオープンサイエンスがある程度広がりを見せてきたことの表れではないだろうか。日本国内でオープンサイエンスを進めていくにあたっても,今回の総会での議論や報告された事例等から参考とすべき点は多いと考えられる。

    RDA総会は半年に一度の頻度で開催されており,次回(第14回)は2019年10月23日から25日まで,フィンランドのヘルシンキで行われる。また,本総会のクロージングセッションでは,第15回総会がオーストラリアで開催されることが発表された。

利用者サービス部科学技術・経済課・西川久司

Ref:
https://rd-alliance.org/plenaries/rdas-13th-plenary-meeting-philadelphia-us
https://rd-alliance.org/about-rda
https://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=7295
https://earthzine.org/data-drives-everything-but-the-bridges-need-a-lot-of-work-2/
https://rd-alliance.org/ig-libraries-research-data-rda-13th-plenary-meeting
https://www.rd-alliance.org/system/files/documents/P13_Slides_2019.pdf
https://rd-alliance.org/system/files/documents/23Things_Libraries_For_Data_RDA%EF%BC%BFjp.pdf
https://soic.iupui.edu/lis/master-library-science/digital-curation/
https://rd-alliance.org/group/education-and-training-handling-research-data-ig/post/engaging-researchers-research-data-0
http://wikicite.org
https://www.wikidata.org/wiki/Wikidata:Main_Page
https://www.rd-alliance.org/ig-chemistry-research-data-rda-13th-plenary-meeting
https://docs.google.com/presentation/d/1Mm2yLrLXlDzTD44ZDhIkJ2mYiSIiifIsYAno6nPH9OQ/edit?usp=sharing
https://sshopencloud.eu
https://www.rd-alliance.org/plenaries/rdas-14th-plenary-helsinki-finland
E2096
E2053