E2025 – 「いいね!発見 撮影会in三重県立図書館」実施報告

カレントアウェアネス-E

No.347 2018.05.31

 

 E2025

「いいね!発見 撮影会in三重県立図書館」実施報告

 

●イベントの概要

 三重県立図書館では,2018年2月18日(休館日)に「いいね!発見 撮影会in三重県立図書館~年1回の蔵書点検日を活用した貸切撮影会~」を今回初めて開催した。

 このイベントは,三重県戦略企画部広聴広報課(以下「広聴広報課」)との連携で,県が毎月発行している『県政だより みえ』のプレゼント企画として実施した。参加を希望する人は,『県政だより みえ』と三重県データ放送「暮らしの便利帳」を見てその感想等を書き,1組3人のチームで応募する。当日は,定員の5組15人が,特別整理期間で休館中の図書館内で「「図書館に行きたい」「本を借りて読みたい」と思わせるような写真」をテーマに自由に撮影を行った。撮影した写真は後日人気投票を行い,グランプリに選ばれたチームには,図書カードをプレゼントした。

 普段とは違った視点から図書館の魅力を見つけてもらい,写真を活用してその魅力を発信し,図書館や本に親しみを持ってもらうことや図書館のイメージアップをねらいとして実施したイベントである。

●経緯・ターゲット

 広聴広報課では毎月『県政だより みえ』を発行しているが,読者層を若年層へ広げることを課題としていた。その一方で図書館では,年々登録者数が減少している傾向にあり,中でも19歳から29歳までの登録者数は2008年度と比較すると約40%減少しているという状況であった。

 このような状況の中で,相互に協力し若年層が興味を持つような面白く珍しい企画ができないかと考え,また2017年のユーキャン新語・流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれたこともあり持ち上がったのが今回の撮影会イベントである。普段は自由に撮影することができない図書館で,休館日の一般利用者がいない環境で悠々と撮影を楽しむことができるというイベントをすることになった。

●撮影会

 撮影は,通常の開館時に利用者が立ち入ることができる範囲のみとし,地下書庫やカウンターへの立ち入りは禁止とした。イベントの初めに,注意事項や撮影のおすすめスポットなどを職員が撮影した写真付きで記載したリーフレットを配付し,立ち入りを禁止している場所の案内や,おすすめスポットの紹介を行った。撮影時間は2時間とした。また,図書館を出てすぐの屋内にコインロッカーが設置されていることを案内したほか,撮影用衣装に着替える参加者を想定し,男女更衣室を用意したところ,着物などに着替える参加者の利用があった。

 参加者は,家族や女性の友人同士で撮影する人・被写体となる人を含めたメンバーを構成しているチームが多く,県外からの参加もあった。撮影イメージの絵コンテを持参している参加者や,ストロボなどの機材や事前に制作した小道具の入った大きな荷物を抱えた参加者の様子から,イベントに対する熱意がうかがえた。

 応募作品は,読書をしている写真や,三重県出身の作家・江戸川乱歩『パノラマ島綺譚』をテーマにした写真など個性豊かな作品が集まった。

●人気投票

 人気投票は,3月1日から3月11日まで,次の3つの方法で行った。1つ目は,県の文化施設(当館,三重県総合博物館,三重県立美術館,斎宮歴史博物館)で写真を展示し,入館者に投票シールを貼ってもらう方法,2つ目は,三重県電子申請・届出システムを用いたインターネットからの投票,3つ目は,三重県立図書館公式Twitter(@mie_pref_lib)で作品ごとのツイートを行い,そのツイートへの「いいね」の数を1票とカウントする方法である。

 結果,総投票数は1,004票で,グランプリに選ばれたのは,333票を獲得した「MIDI(ミディ)大好き!」さんによる,赤ちゃんのキラキラした表情が素敵な「さあ ぼうけんに でかけよう!」だった。投票割合は,県文化施設が最も多く74%,三重県電子申請・届出システムが17%,Twitterが9%であった。県文化施設別割合は,斎宮歴史博物館が29%,県総合博物館と県立美術館がそれぞれ28%,当館は15%であった。

●参加者の反応

 参加者からは,「館内をじっくりまわったことがなかったので,今回ゆっくりと見ることができ良かった。」「休館日に自由に見て回ることでこんな本が置いてあるんだとか,こんなコーナーがあるんだといった発見があり,とても楽しく過ごすことができた。」といった感想があった。参加者アンケートの満足度割合は,「満足」が67%,「ある程度満足」が33%という結果だった。

●まとめ

 今回のイベントは,数社のメディアに取り上げられ,注目度が高かった。これを機に,普段図書館を利用しない層にも注目してもらい,利用者数増加に努めていきたい。また,今回はTwitterでの投票数があまり伸びなかったが,Twitterをいかに有効活用していくかについて研究し,工夫を重ねていけば,広報の範囲により広がりが出てくると感じた(CA1716参照)。

 グランプリに選ばれた作品をはじめ,応募作品は,今後の図書館の広報に活用する予定である。

三重県立図書館・喜多井こころ

Ref:
http://www.library.pref.mie.lg.jp/index.php?key=jofsj9m2n-105#_105
http://www.library.pref.mie.lg.jp/index.php?key=jowjomu8e-105#_105
http://www.library.pref.mie.lg.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=journal_view_main_detail&post_id=1539&comment_flag=1&block_id=105#_105
CA1716