カレントアウェアネス-E
No.35 2004.04.21
E191
法律文献の複写サービスをめぐる最高裁判決(カナダ)
CCHカナディアン,カーズウェル,カナダ法律図書の3出版社がアッパー・カナダ法律協会(Law Society of Upper Canada,注)を相手取り,同協会図書館による法律文献の複写サービスが著作権を侵害するものであるとして訴えていた訴訟の判決が3月4日,カナダ最高裁判所で言い渡された。判決では,アッパー・カナダ法律協会が法律家や研究者,学生等の調査研究のために,利用者の求めに応じて法律文献を一部コピーして提供することは公正使用(fair dealing)に当たり著作権を侵害するものではなく,またセルフ式複写機の設置も著作権侵害には当たらないとして,出版社が求めていたライセンス料の支払いは退けられた。この判決により,著作権が保護される著作物の要件や公正使用の範囲について重要な原則が示されたと評価されている。
(注)オンタリオ州の法律専門家による職能団体。
Ref:
http://www.lsuc.on.ca/news/updates/mar1604_copyright.jsp
http://www.lsuc.on.ca/news/pdf/mar04_scc_copyright_decision.pdf
http://www.cbabook.org/news/article.asp?id=245
佐藤信行.カナダにおける「法資料へのアクセス」と「法の支配」の一段面.尚美学園大学総合政策研究紀要.(2),2001,71-86.