カナダでは2005年秋の議会の解散によって著作権法改正案(Act to Amend the Copyright; C-60)が廃案となったのですが、改正への動きは収まらず、Canada’s Privacy Communityのコメントに引き続き、5月30日にはカナダ教育閣僚協議会(Council of Ministers of Education, Canad)から、6月8日にはカナダ図書館協会(Canadian Library Association : CLA)から、それぞれコメントが公表されています。
カナダ教育閣僚協議会は著作権法の改正について、今日のインターネット利用の実態を反映したものへと変更するとともに、誰もが利用できるインターネット資源へのアクセスを制限する、時代遅れでもはや維持できないビジネスモデルを援護するものとはしないと表明するなど、教育目的による公的なインターネット資源へのアクセスを保障するための安全装置という観点から、著作権法改正を推進しています。
一方のカナダ図書館協会は、廃案になった法案を、新しいコピー技術への対応がなされているもの、公共政策との関係や最も重要な到達点となるリテラシーの発達や学習・教育・調査能力の高度化という課題に対し、十分な配慮が払われていないと総括した上で、新たな法案がいまだ示されていないことやフィルタリングなどの技術的保護手段(TMP)を回避できる措置を認めること、カナダ最高裁で認められた公正使用(Fair Dealing)の内容が盛り込まれていないことに懸念を示しています。
Education Ministers Want Amendment in Federal Copyright Legislation
http://www.cmec.ca/releases/press.en.stm?id=45
RE: Copyright Legislation(カナダ図書館協会)
http://www.cla.ca/resources/Copyright%20Letter%20Oda_Bernier(final).pdf
カナダ著作権法の改正に対するコメント
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=1595
法律文献の複写サービスをめぐる最高裁判決(カナダ)
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/cae/item.php?itemid=197