E1892 – 長浜市立高月図書館における折り込みチラシの保存について

カレントアウェアネス-E

No.321 2017.03.09

 

 E1892

長浜市立高月図書館における折り込みチラシの保存について

 

 2016年12月2日から12月27日まで,長浜市立高月図書館(滋賀県)で「あの時,何を売っていた?~折り込みチラシで振り返る23年」展を開催した。これは当館が保存している新聞折り込みチラシの展示である。開館した1993年から2015年までの12月の新聞折り込みチラシ,約700日分(1か月×23年)から,生活と世相の変化が分かる日付と年を選んだ。日付は1日,10日,30日,クリスマスの前後23日と26日など5日分,年は消費税増税があった1997年,2014年や,地上デジタル放送に移行した2010年など2年から3年間隔で8年分を展示した。同日のチラシを並べることで,掲載された物やその価格,地域の店舗,およびチラシのデザインの変遷などを,当時を知る人には懐かしく,知らない人には新鮮な情報として見てもらうことができた。

●展示に至るまで

 当館は,滋賀県の湖北地域に高月町立図書館として開館した1993年(2010年,長浜市との合併により現在の長浜市立高月図書館となる。)から,当館の所在する地域に配達される朝刊の折り込みチラシを資料として保存している。保存期間は1年。その内,7月分と12月分を永年保存しており閲覧できる。当初は12か月分を永年保存する方針で保存していたが,年を経て増えていく折り込みチラシを町立の図書館が1館で保存し続けることが難しくなり,ボーナス支給月で物価が変動する上記の2か月分を保存することにした。なぜ,折り込みチラシを保存することにしたかだが,新聞の地方版を保存する図書館は多く,県内の他館でも保存され閲覧が可能だが,折り込みチラシを保存している館は湖北地域にはなかったためである(長浜市立図書館,米原市立図書館では合併前から協定を結び,新聞の分担保存をおこなっている。通常1年保存だが,主要全国紙と地方紙計8紙を長浜市立図書館6館,米原市立図書館2館で1紙ずつ5年間保存している)。また,配達される地域によって内容が異なるため,より地域に密着した生活情報や物価を知ることができる資料として保存することにし,23年を経て今回の展示に至った。

●今後について

 現在,折り込みチラシは1か月分を大きい封筒に入れて保管しているが,スペースの確保や劣化対策などの課題がある。製本やデータ化も小規模の図書館でどこまでできるか難しい。しかし今回の展示で,過去にあった店舗や当時の催事情報など,懐かしいものを見てもらうことができたので,地域を知ることのできる資料として今後も保存を続けていきたい。

長浜市立高月図書館・林弥生

Ref:
https://www.library.city.nagahama.shiga.jp/LIBRARY/takatsuki1.html
https://www.library.city.nagahama.shiga.jp/SEARCH/SEARCH2.html
http://current.ndl.go.jp/report/no9